
合同会社アイフィルムの小池です。
創立記念や周年の式典では、開会の最初に流すオープニング動画をはじめ、会社や団体の歩みを振り返る映像がよく使われます。会場の照明が落ちて映像が始まると、会場の空気が一つにまとまります。ただ、いざ担当になると「何分くらいの映像にすればいいのか」「古い写真はどう集めるのか」「いつから準備を始めればいいのか」と迷う点が多いものです。
今回は、企画から当日の上映までに担当者が押さえておきたいことを、流れに沿ってまとめました。
周年記念・式典で流す映像は4種類、尺は式次第で決める
式典で流す映像は、流すタイミングと役割で大きく4つに分けられます。すべてを作る必要はなく、式次第(式の進行表)と予算に合わせて選びます。
| 種類 | 流すタイミング | 主な内容 |
|---|---|---|
| オープニング | 開会の直後 | 式典のテーマ、周年のロゴ、印象的な写真や映像で期待感を高める |
| 歴史紹介 | 式辞や代表挨拶の前後 | 創業から現在までの歩み、節目の出来事、当時の写真 |
| メッセージ | 来賓祝辞の後や懇親会 | 社員、OB・OG、取引先、地域の方からのお祝いの言葉 |
| エンディング | 閉会の前後・退場時 | 未来への決意、参加者へのお礼、当日の様子 |
オープニングは「これから始まる」という合図の役割なので、内容を詰め込みすぎず、テンポよく見せるのが基本です。歴史紹介は情報量が多くなりやすいため、オープニングと分けて作ると、それぞれの長さを調整しやすくなります。
尺は式次第の中で決める
映像の長さは、式次第の中で「その映像に何分使えるか」から決めるのが確実です。周年記念動画は5〜10分の長尺を想定しがちですが、3分程度に凝縮したほうが視聴完了率が高く、SNSでの二次利用もしやすいという声もある、と紹介している解説もあります。
式次第に映像を組み込んだ例です。すべての映像を入れる必要はなく、オープニングと歴史紹介をひとつにまとめる方法もあります。
| 時間 | 進行 | 映像 |
|---|---|---|
| 開場〜開式前 | 受付・着席 | 写真のスライドをループ再生 |
| 開式 | 開会の辞 | オープニング映像 |
| 式辞の前 | 代表挨拶 | 歴史紹介映像 |
| 祝辞の後 | 来賓紹介・祝電 | メッセージ映像 |
| 閉式 | 閉会の辞・退場 | エンディング映像 |
ナレーションを入れる場合は、原稿の文字数でおおよその長さが決まります。アイフィルムのナレーション料金表では、動画ナレーションを「1〜3分尺/1,000文字以内」の区分で設定しています(料金の仕組みはナレーション収録の料金の仕組み)。原稿を書き始める前に、映像の長さを先に決めておくと、削る作業が少なくて済みます。
構成は「歴史→今→未来」で考える
周年の映像は、時間の流れに沿って「過去→現在→未来」の順に紹介するのが基本の型とされています。見る人が迷わず、最後に前向きな気持ちで終われる流れです。
歴史:年表ではなく「出来事の理由」を
創業から現在までの出来事を年表のように並べるだけでは、見る人の印象に残りにくくなります。「なぜその決断をしたのか」「どんな苦労があったのか」といった背景が一言あるだけで、映像に物語が生まれます。創業者や長く勤めている方に短いインタビューをお願いし、当時の写真に声を重ねる方法もあります。インタビューの撮り方はインタビュー動画の撮影・制作ガイドで詳しく解説しています。
今:働く人と現場を映す
現在の社屋や工場、働く人の表情は、新しく撮影すると映像が引き締まります。建物の全景を空から撮るドローン空撮も、節目の映像によく合います。
未来:決意と感謝で締める
最後は、次の10年に向けた言葉や、お客様・地域へのお礼で締めくくります。代表者のメッセージやスローガンを文字で大きく見せると、式典全体のテーマとつながります。

古い写真・映像の集め方とデジタル化
歴史紹介で一番時間がかかるのが、素材集めです。創業当時の写真、歴代の商品パッケージ、社内報の記事、過去のイベント写真、商品カタログの映像などが素材の候補になります。社内のアルバムだけでなく、OB・OGの方や創業家の方が個人で持っている写真が見つかることもあります。
素材は種類によって、デジタル化の方法が変わります。
| 素材 | デジタル化の方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 紙の写真・アルバム | スキャナーで読み取る | フルHDや大画面で表示するなら600dpiでの読み取りがすすめられています |
| ビデオテープ(VHSなど) | ダビングしてデジタル化 | 再生機器が減っているため早めに |
| 白黒の映像 | カラー化・修復 | 色をつけると当時の様子が身近に感じられます |
ビデオテープは早めに確認を
VHSなどの磁気テープの耐用年数は20〜30年といわれ、2019年にはユネスコが「磁気テープの映像を2025年までにデジタル化しないと永遠に失われる可能性がある」と警告したと紹介されています。実際に再生できるかどうかはテープごとの状態によりますが、再生するビデオデッキも国内での製造が終わっています。式典の準備が始まったら、まずテープが再生できるかを確認してください。
アイフィルムでは、VHS・VHS-C・8mmビデオ(Hi-8)・MiniDV・Beta・マイクロMV・35mmフィルムのダビングに対応しています。料金はVHS/VHS-C/Beta/MiniDV/Hi-8で1枚あたり1,650円です。詳しくはVHSテープダビングをご覧ください。動画の素材として使うために、DVD以外の形式(MP4などの動画データ)で受け取りたい場合は、ご相談ください。
白黒の映像をカラーにする
フィルム時代の白黒映像が残っている場合は、カラー化という方法もあります。アイフィルムのモノクロ映像カラー化では、AIによるカラー化に手作業の色調整を組み合わせ、ノイズ除去や傷の修復、HD・4K解像度への高解像度化にも対応しています。白黒写真(静止画)のカラー化については、ご相談ください。
音楽と写真の権利も確認する
市販の曲を映像のBGMに使う場合、曲の著作権に加えて、CDなどの音源そのものの権利(原盤権)があり、それぞれ手続きが必要です。手続きが難しい場合は、オリジナルBGMや権利処理済みの音源を使う方法があります。写真に写っている人や撮影者が社外の方の場合は、使ってよいか事前に確認しておきます。
会場での上映:スクリーン・音響との連携とリハーサル
映像が完成しても、会場でうまく流れなければ意味がありません。上映の準備で確認したいのは次の点です。
- スクリーンの縦横比:いまのテレビやモニターの多くは16:9(横長)向けに作られており、映像も16:9で作るのが一般的ですが、会場のスクリーンやプロジェクターが4:3(やや正方形に近い形)の場合もあります。縦横比が合わないと、4:3の映像を16:9のスクリーンに映したときの左右の黒い帯のように、余白が出たり映像が小さくなったりします。会場の設備は事前に確認しておきます。
- 音の出し方:パソコンから映像を流す場合は、パソコンの音を会場の音響卓(ミキサー)につなぐ必要があります。どの端子でつなぐかまで決めておきます。
- きっかけ(合図):司会の「それではご覧ください」の後に再生する、といったきっかけを進行台本に書き込み、映像担当・音響担当と共有します。詳しくはイベントの音響トラブルを防ぐ事前確認事項、式次第からきっかけ表を作る方法は講演会・式典の音響セッティングの基本にまとめています。
- 予備の準備:再生用のファイルは、パソコンとUSBメモリなど2か所に用意しておきます。
リハーサルでは、実際に会場で最初から最後まで一度流し、音量、明るさ、文字の読みやすさを客席の後ろから確認します。映像だけ音が小さい、といった差はリハーサルでしか気づけません。
アイフィルムの音響PAでは、オープニング映像やスライドを音響と連動して流す「VTR出し・スクリーン投影」をオプションでご用意しています。映像の制作と当日の上映を同じ窓口にまとめると、きっかけや音量の打ち合わせが一度で済みます(音響・映像・進行をまとめて頼むメリット)。

制作スケジュールは式典の日から逆算する
周年の映像は、企画から納品まで2〜3か月を見込み、式典の2週間前には完成版を確認できるように逆算するのがよいとされています。社内の確認に時間がかかる場合や、インタビュー撮影がある場合は、さらに余裕を持たせます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3か月前 | 映像の種類と長さを決める、素材集め・テープの確認を始める |
| 2か月前 | 構成案の確定、インタビューや社屋の撮影 |
| 1か月前 | 初稿の確認、修正の取りまとめ |
| 2週間前 | 完成版の確認、会場の設備確認 |
| 前日〜当日 | 会場でのリハーサル、本番の上映 |
アイフィルムの一般的な制作期間は2〜6週間が目安ですが、周年の映像は素材集めと社内確認に時間がかかるため、早めにご相談いただくと進めやすくなります。工程ごとの詳しい流れは動画制作の流れをご覧ください。
よくある質問
Q. 写真しか残っていなくても映像にできますか?
できます。写真に動きをつけたり、文字やナレーション、音楽を組み合わせたりすることで、写真だけでも映像に仕上げられます。現在の様子を新しく撮影して加えることもできます。
Q. 式典当日の様子をエンディングで流せますか?
できます。当日の様子をその場で編集し、イベントの最後に上映する「撮って出し」の映像も制作できます。撮影のカメラ台数と編集の時間を確保するため、事前の打ち合わせで進行表を確認させてください。
Q. 式典そのものの記録撮影も一緒に頼めますか?
はい。式典の記録撮影と、全編記録・ダイジェスト映像の編集にも対応しています。データでの納品のほか、DVDでの納品もできます。事例は式典・周年行事・研修の記録撮影、残しておきたいシーンや撮影体制は式典・記念イベントの記録撮影をご覧ください。
Q. 映像は式典の後にも使えますか?
使えます。式典で流した映像を短く編集し直して、会社紹介や採用説明会、Webサイトで使う方法もあります。使う場面が決まっている場合は、最初の打ち合わせでお伝えください。
アイフィルムでの周年・式典映像のお手伝い
アイフィルムは、新潟県糸魚川市と新潟市に拠点を持つ映像制作会社です。周年記念・式典の映像では、オープニングや歴史紹介の映像制作、古い映像のVHSテープダビングやモノクロ映像カラー化、当日の音響PAとVTR出し、記録撮影まで、ひとつの窓口でご相談いただけます。地域の教育イベントで音響・映像・会場設営を毎年担当している例や、オープニング映像の上映・撮って出しの映像への対応は学校・教育イベントの音響と映像で紹介しています。
式典の日程が決まったら、映像の内容が固まる前でもお問い合わせからご連絡ください。



