
イベントの音響トラブルの多くは、本番中の運ではなく、事前の確認で防げるものです。
式典でも講演会でも地域のお祭りでも、マイクの声が聞こえない、BGMが流れない、途中で電源が落ちるといった音響のトラブルは、会場の空気を一気に変えてしまいます。以下は、音響を外部に依頼する場合も、自分たちで準備する場合も使えるように、主催者が事前に確認しておきたいことをまとめたものです。
音響トラブルを防ぐ事前確認チェックリスト
最初に、確認しておきたい項目を一覧にします。音響業者との打ち合わせの前に、この表を埋めておくと話が早く進みます。
| 項目 | 確認すること | 誰に確認するか |
|---|---|---|
| 電源 | 音響卓やステージ近くのコンセントの位置、同じ回路で使う機器、ブレーカーの場所 | 会場の管理者 |
| マイク | 必要な本数と種類(ハンド・ピン・スタンド)、同時に使う最大本数 | 進行担当・音響業者 |
| ワイヤレスマイク | 電池の残量と予備、同じ建物で使われるほかのワイヤレスマイク | 音響業者・会場 |
| 進行台本 | BGM・VTR・効果音を流すタイミングと、きっかけの言葉 | 進行担当・司会 |
| 音源・映像 | ファイル形式、再生する機器、音の出口(PCから音響卓へ) | 制作担当・音響業者 |
| 会場の響き | 天井の高さ、壁や床の素材、客席の広さ | 下見・会場 |
| リハーサル | 実施する時間、登壇者が参加できるか | 進行担当 |
| 連絡体制 | 当日の窓口、司会と音響の合図、トラブル時の判断者 | 主催者 |
電源の位置と容量を確認する
音響機材は電気で動きます。電源の確認が足りないと、本番中にブレーカーが落ちて、マイクもスピーカーも一斉に止まってしまいます。
コンセント1か所・1回路で使える量には上限がある
一般的なコンセントに流せる電流は15Aまでで、1つのコンセントで使える電力は合計1,500Wまでとされています。一般的なブレーカーは20Aで、1つの回路で使えるのは2,000Wまでです。同じ回路につながる機器の合計がこれを超えると、ブレーカーが落ちます。
注意したいのは、壁のコンセントが別々でも、同じ回路につながっていることがある点です。音響機材と同じ回路で、ケータリングの電気ポットやホットプレート、暖房器具などを使うと、思わぬタイミングでブレーカーが落ちることがあります。
確認しておきたいこと
- 音響卓(ミキサーを置く場所)とステージの近くに、使えるコンセントがあるか
- そのコンセントがどの回路につながっているか、ブレーカーはどこにあるか
- 照明、映像、飲食ブースなど、同じ時間に電気を使うものは何か
- 屋外の場合、電源をどこから取るか、雨にぬれない取り回しができるか
体育館や屋外のように、ステージの近くにコンセントが少ない会場では、長い電源ケーブルでの引き回しや、仮設の分電盤(ブレーカー付きの電気の分岐盤)を使った電源工事が必要になることもあります。アイフィルムでは、体育館会場のイベントで仮設分電盤を設けて電源を回路ごとに管理した例があり、展示会・ポップアップ設営のページで紹介しています。
マイクの本数・種類とワイヤレスマイクの電波
プログラムから必要なマイクを数える
マイクの本数は「同時に使う最大の本数」で考えます。司会、あいさつ、パネルディスカッションの登壇者、客席からの質問など、プログラムごとに書き出してみると、意外と本数が必要なことに気づきます。
| マイクの種類 | 向いている場面 |
|---|---|
| ハンドマイク(ワイヤレス) | 司会、あいさつ、客席での質疑応答 |
| ハンドマイク(有線)+スタンド | 演台、ステージ上の決まった位置での発言 |
| ピンマイク(襟元につける小型マイク) | 動きながら話す講演、両手を使う実演 |
ワイヤレスマイクの電波の基本
ワイヤレスマイクは、使う電波の周波数帯によって扱いが変わります。総務省の資料では、ラジオマイクは次のように分けられています。
| 区分 | 免許 | 主な用途 |
|---|---|---|
| A型(特定ラジオマイク) | 必要 | 放送番組の収録、舞台、コンサートホール、大規模イベント会場 |
| B型(806〜810MHz) | 不要(特定小電力無線局) | ホテル、結婚式場、会議場、学校、集会場など |
一般に「B帯」と呼ばれるB型のワイヤレスマイクは、免許なしで使えるため、ホテルや会議場、学校などで使われています。そのぶん、同じ建物のほかの部屋でもB帯のマイクが使われていることがあり、周波数が重なると混信(ほかのマイクの音が混ざったり、音が途切れたりすること)が起きます。B帯は同時に使えるセット数にも上限があります。
本数が多い場合は、B帯とは別の周波数帯を使う2.4GHz帯のデジタルワイヤレスマイク(こちらも免許不要)を組み合わせる方法もあります。なお、ご自身で用意したワイヤレスマイクを使う場合は、日本の電波法の基準に合っていることを示す「技適マーク」が付いているかを確認してください。
電池は「新品+予備」が基本
ワイヤレスマイクで起きやすいトラブルの一つが電池切れです。本番前に新しい電池に交換し、予備の電池と、予備のマイクを手の届く場所に用意しておきます。

進行台本とBGM・VTRのきっかけを共有する
音響のトラブルは、機械の故障よりも「タイミングのずれ」から起きることが少なくありません。司会が紹介したのにBGMが流れない、VTRの音が出ない、拍手の前に曲が止まってしまう。こうしたずれを防ぐのが、きっかけ(合図)を書き込んだ進行台本です。
| 時間 | 項目 | 音・映像 | きっかけ |
|---|---|---|---|
| 13:55 | 開演前 | 客入れBGM(小さめ) | 開場と同時に |
| 14:00 | 開会 | BGMを下げて止める | 司会「ただいまより」 |
| 14:01 | オープニング | オープニング映像(VTR) | 司会「それではご覧ください」 |
| 14:05 | 主催者あいさつ | 登壇曲 → マイク | 司会が名前を呼んだら |
台本と一緒に、BGMやVTRのファイルも事前に音響担当へ渡しておきます。VTRをPCから流す場合は、PCの音を音響卓へつなぐ必要があるため、「どのPCから、どの端子で音を出すか」もあわせて決めておきます。曲ごと、映像ごとに音量の差があることも多いので、リハーサルで一度流して確認しておきます。
響きやすい会場、リハーサル、当日の合図の決め方
会場の響きとスピーカーの置き方
体育館や天井の高いホールは、声が反響しやすく、音量を上げるほど聞き取りにくくなることがあります。こうした会場では、スピーカーの向きや台数を工夫して、客席の後ろまで声を届けます。
ハウリング(スピーカーの音をマイクが再び拾って「キーン」と鳴る現象)を防ぐ基本は、必要以上に音量を上げないこと、マイクとスピーカーの距離や向きを見直すことです。それでも収まらない場合は、イコライザー(特定の高さの音だけを調整する機器)で、ハウリングしやすい音域を抑えます。
リハーサルは「本番の人と本番の音」で
リハーサルでは、できるだけ本番で話す人に、本番で使うマイクで話してもらいます。声の大きさやマイクの持ち方は人によって大きく違うためです。客席に人が入ると音の響き方が変わるので、本番の最初の数分は音響担当が音量を細かく調整します。
当日の連絡体制を決めておく
- 主催者側の窓口を一人に決める(音響担当が迷わず相談できるように)
- 司会と音響の合図を決める(BGMを止める、マイクを入れるなど)
- トラブルが起きたときに、進行を止めるか続けるかを判断する人を決める
- 進行に変更があったら、すぐに音響担当へ伝える
当日の進行は予定どおりにいかないことも多いものです。変更をすぐに共有できる体制があれば、音響担当はその場で対応できます。
アイフィルムの音響PAの料金と機材
アイフィルムでは、新潟県内の式典・講演会・学校行事・地域のイベントの音響PAを承っています。料金は次のとおりです(すべて税別)。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 当日基本料金(機材+オペレーター1名) | 50,000円/日 |
| 当日スタッフ追加 | 20,000円/1名・日 |
| 前日仕込み | 18,000円/1名 |
| 出張費:糸魚川市内 | 無料 |
| 出張費:上越エリア(柏崎まで) | 5,000円/日 |
| 出張費:中越エリア | 10,000円/日 |
| 出張費:下越エリア(新潟市を含む) | 15,000円/日 |
機材は、ヤマハ DXR15 mk3(ピーク出力2000W)のパワードスピーカーやヤマハ MG20XU(20ch)のミキサーを中心に、ワイヤレスマイク(Shure BLX288/SM58、SONY URX-P41D)、有線マイク(Shure SM58)、ハウリング対策に使うグラフィックイコライザー(ベリンガー FBQ6200)、100mの電源ケーブルなどをそろえています。
音響PAのページでは、日数・人数・エリアを選ぶだけで料金の目安がわかる「料金シミュレーター」をご用意しています。音響と一緒に、記録撮影やオープニング映像の上映、会場づくりまでまとめてご相談いただくこともできます(イベント運営・音響)。会場とオンラインを同時につなぐ場合の注意点は、ハイブリッド開催で音声トラブルを防ぐ方法にまとめています。
よくある質問
Q. 会場に備え付けの音響設備があっても、音響を頼む意味はありますか?
あります。会場のスピーカーやミキサーに接続し、足りないマイクや機材だけを持ち込むこともできます。進行に合わせたBGM出しやマイクの切り替えをオペレーターが担当することで、主催者の方は進行に集中できます。
Q. 前日の仕込みは必要ですか?
規模や会場の都合によります。小規模なイベントは当日の設営で対応できることが多く、大きな会場や早朝開始の場合は前日の仕込みをおすすめしています。前日仕込みは1名18,000円(税別)です。
Q. 下見はしてもらえますか?
必要に応じて会場の下見を行い、電源の位置や容量、スピーカーの置き場所を確認したうえで機材構成を決めます。
Q. ワイヤレスマイクを多く使いたいのですが、何本まで対応できますか?
アイフィルムの機材では、Shure BLX288/SM58が2本、SONY URX-P41D(送信機2台)が1式です。それ以上の本数が必要な場合はご相談ください。


