
合同会社アイフィルムの小池です。
展示会への出展が決まると、ブースの装飾、パネルやタペストリーの印刷、展示台の手配、モニターや照明の準備など、用意するものが一気に増えます。「どこに何を頼めばいいのか」「全部まとめて頼める会社はあるのか」。多くの担当者の方が、まずここで迷います。
初めて出展する方に向けて、ブースづくりの全体像から準備のスケジュール、頼み方の違い、見積もりの依頼で伝える情報までを、表を使って整理しました。
展示会ブースに必要なものの全体像
ブースづくりに必要なものは、大きく5つに分けられます。
| 分類 | 主なもの | 準備で気をつけること |
|---|---|---|
| 出力物 | タペストリー、バナー、壁面パネル、床面シート、ガラス面のフィルム、のぼり、POP | デザインデータの入稿締切から逆算して進める |
| 什器・造作 | 展示台、カウンター、棚、パーテーション、木工の造作物 | 買う・作る・借りる(レンタル)を使い分ける |
| 電源・照明 | ブースへの電源、コンセント、スポットライトやLED照明 | 使う機器の消費電力を早めに把握する |
| 映像・音響 | ブースで流す動画、モニター、プロジェクター、マイク・スピーカー | 動画の制作期間も含めて計画する |
| 施工・撤去 | 搬入、設営、会期後の撤去・搬出 | 会場ごとの搬入時間・ルールに合わせる |
出力物と什器は「見え方」を決める部分
来場者が最初に目にするのは、壁面のパネルやタペストリー、展示台です。遠くからでも社名や商品が伝わるか、通路から商品が見えるかといった視点で、出力物と什器の配置を考えます。什器は、展示会のたびに使うものは制作、一度きりのものはレンタル、という使い分けで費用を抑える方法もあります。
電源・映像・音響は、装飾と同時に動き出す
意外と後回しになりやすいのが電源です。展示会では、会場の電気をブースまで引く工事を、主催者側(事務局)に申し込むことがあります。ある展示会の出展要項では、小間内で電気を使う場合に必要な「1次側配線工事」(展示場の共同幹線から小間内にブレーカーを設置する工事)と、小間内のブレーカーからスポットライトやコンセントなどへつなぐ「2次側配線工事」に分けて案内されていました。モニターや照明、音響機器の数が決まれば、必要な電気の容量も見えてきます。
ブースで流す動画を新しく作る場合は、撮影や編集の期間も必要です。装飾と同じタイミングで計画を始めましょう。

小間(ブースの区画)の基本サイズと会場のルール
展示会では、ブースの区画を「小間(こま)」と呼びます。1小間の大きさは展示会ごとに決められていて、出展要項で確認できます。
| 展示会の例 | 1小間のサイズ | 補足 |
|---|---|---|
| CEATEC(スタンダードブース) | 間口3m×奥行3m(9㎡) | 基礎パネルの高さは2.7m |
| CEATEC(スモールパッケージブース) | 間口2m×奥行2m×高さ2.7m(4㎡) | 展示台やコンセントなどがセットになったタイプ |
| ふくおか未来ものづくり技術振興展 | 間口3.0m×奥行2.0m×高さ2.7m | システムパネルを使用。長机2台・白布2枚・イス1脚までの使用料を含む |
CEATECのように「間口3m×奥行3m」の展示会もあれば、奥行2mの展示会もあり、同じ1小間でも大きさは展示会によって違います。2小間・4小間とまとめて借りると、その分だけ広い区画になります。
高さ制限と、パッケージに含まれるもの
多くの展示会では、装飾の高さにも決まりがあります。たとえばCEATECでは基礎パネルの高さを2.7mとし、スタンダードブース(一列・二列)では通路および基礎パネルから1mセットバックした部分なら3.6mまで、といった細かいルールが定められています。パッケージブースには展示台や社名のサイン、コンセントなどが含まれていることがあるので、何が用意されていて何を自分で準備するのかを最初に確認しておきます。
装飾の素材は「防炎」の確認を
展示場は、消防法で燃えにくい素材(防炎物品)の使用が求められる「防炎防火対象物」に含まれます。東京消防庁の案内では、カーテンやじゅうたんのほか、展示用の合板(展示用パネル、バックボード、仕切り用パネルなど)や、展示会場で台・仕切りなどに使う合板、下げ丈がおおむね1m以上の装飾幕なども対象として挙げられています。布ものや大きなパネルを使う場合は、主催者の出展規定とあわせて確認しておきます。
出展準備の一般的なスケジュール
展示会への出展準備は、半年ほど前から始めるのが一つの目安です。マーケティング支援会社のCREXは、6か月前に出展申し込み、3か月前にブースデザイン・レイアウトの決定、1か月前に運営マニュアルや人員配置の決定、という流れを紹介しています。
実際の展示会の例として、ふくおか未来ものづくり技術振興展2026(会期7月8日〜10日)の予定を見ると、次のようになっていました。
| 時期 | 主催者側の予定 | ブースづくりで進めたいこと |
|---|---|---|
| 3月下旬 | 出展申込締切(3月23日。満小間になり次第受付終了) | 出展の目的と予算を決める |
| 5月上旬 | 出展社説明会、出展の手引書の配布 | 手引書でルールを確認し、装飾会社に相談 |
| 6月上旬 | 各種届出書の提出期限 | 電気工事などの申込、デザインの確定 |
| 7月7日 | 出展社搬入(9:00〜18:00) | 設営 |
| 7月8日〜10日 | 会期 | ブース運営 |
| 7月10日 | 閉会後に搬出 | 撤去 |
この例では、申込締切から会期までが約3か月半、届出書の提出期限は会期の約1か月前でした。電気工事や装飾の届出には締切があるため、出展の手引書が届いたら、早めに装飾を依頼する会社へ共有してください。

別々に頼む場合とまとめて頼む場合の違い
ブースづくりは、印刷会社・什器レンタル会社・施工会社・映像会社などに分けて頼むこともできますし、1社にまとめて頼むこともできます。それぞれの特徴を表で比べます。
| 比べる点 | 別々に頼む場合 | まとめて頼む場合 |
|---|---|---|
| 打ち合わせ・見積もり | 業者ごとに必要 | 一度で済む |
| サイズや仕様の調整 | 業者どうしの寸法合わせを発注側が仲介する | 窓口の会社が全体を見て調整する |
| 納品日・搬入日 | 業者ごとに日程を合わせる | まとめてスケジュールを組める |
| 費用の調整 | 項目ごとに比較しやすい | 全体の予算の中で配分を見直せる |
| 向いているケース | 社内に展示会の経験者がいる、得意な業者が決まっている | 初めての出展、担当者が少ない、遠方の会場 |
別々に頼む方法は、それぞれの専門会社を選べるのが良いところです。一方で、「パネルのサイズが什器と合わない」「出力物の納品日が搬入日に間に合わない」といった調整を、発注側がまとめる必要があります。担当者の手間を減らしたい場合や、初めての出展で全体の段取りに不安がある場合は、まとめて頼める会社に相談すると進めやすくなります。
見積もりを依頼するときに伝える情報
見積もりを依頼するときは、次の情報がわかる範囲でそろっていると、内容の濃いお見積りが出やすくなります。
| 伝える情報 | 例・補足 |
|---|---|
| 会期と会場 | 搬入・撤去の日時もわかれば一緒に |
| 小間数・ブースのサイズ | 例:2小間(6m×3m) |
| 図面・デザインデータ | 手描きのラフやイメージ写真でも役立つ |
| 依頼の範囲 | 出力物だけ、施工まで、映像・音響も、など |
| 予算 | 決まっていれば、その範囲で仕様を提案してもらえる |
| 出展の手引書・出展規定 | 高さ制限、電気工事、搬入ルールの確認に使う |
| 使いたい機器 | モニターの台数、照明、マイクの有無など |
予算が決まっている場合は、最初に伝えておくのがおすすめです。素材や仕上げ、レンタルと制作の組み合わせを見直すことで、見え方を保ちながら予算に近づける提案を受けやすくなります。
アイフィルムが一つの窓口で受けている範囲
アイフィルムでは、展示会・ポップアップの出力物、什器・造作物の制作、搬入・設営・撤去までを一つの窓口でお受けしています。数量が書かれていない図面やデザインデータからでも、出力物や什器の数量を拾い出し、内訳がわかるお見積りをお出しします(お見積りは無料です)。
これまでに担当した、また進行中の会場づくりの例です。
- 東京都内の商業施設で、台湾のブランドを紹介する約3週間のポップアップ展示。出力物・什器・造作物の制作から、ガラス面へのフィルム施工、天井から吊るす装飾、設営・撤去まで一式
- 東京都内の展示会場で、食品関連の商談会の海外パビリオン(4ブース)の装飾と出力物。出展者ごとの数量確認から制作・施工まで進めています
- 新潟県内の体育館会場で行われる地域の大型イベントの会場づくり。会場レイアウトの設計、ブースの設営、仮設分電盤を設けた電源工事、音響・映像・記録撮影
映像制作会社なので、ブースで流すループ動画の制作やモニターの設置、ステージの音響、会期中の記録撮影まで同じチームで対応できます。ステージの音響は、ヤマハの機材とオペレーター1名込みで1日5万円(税別)からです。新潟県内と東京都内の会場に伺い、1小間からのご依頼や、出力物だけ・施工だけといった部分的なご依頼も承っています。
詳しくは展示会・ポップアップ設営と音響PAのページをご覧ください。会期の1か月前までのご相談をおすすめしていますが、お急ぎの場合もお問い合わせからご連絡ください。
よくある質問
Q. 1小間だけの小さなブースでも頼めますか?
はい。小さなブースほど、限られたスペースで何を見せるかで差が出ます。アイフィルムでは1小間から承っており、出力物だけ、施工だけといった部分的なご依頼にも対応しています。
Q. デザインデータがなくても相談できますか?
ご相談いただけます。手描きのラフやイメージ写真、参考にしたいブースの写真などをもとに、仕様を一緒に整理していきます。
Q. どのくらい前に依頼すればよいですか?
出展の手引書に書かれた届出の締切が一つの目安になります。制作物の量にもよりますが、アイフィルムでは会期の1か月前までのご相談をおすすめしています。ブース用の動画を新しく作る場合は、さらに余裕を見てご相談ください。
Q. 東京の展示会でも設営に来てもらえますか?
はい。東京都内の展示会場や商業施設でのポップアップにも、現地での設営・撤去に伺います。海外のデザイン会社が作った仕様書(中国語など)をもとに、日本の会場ルールに合わせて施工した実績もあります。

