
合同会社アイフィルムの小池です。
式典や講演会、周年行事を準備していると、「マイクとスピーカーはA社、スクリーンに映す映像はB社、記録撮影はC社、配信はD社」というように、気づけば何社もの業者とやり取りしていることがあります。それぞれに打ち合わせをして資料を送り、当日の段取りを伝えるだけでも、担当者にはかなりの手間です。
音響・映像・照明・記録撮影・配信・進行管理を1社にまとめると何が変わるのかを、打ち合わせ、きっかけの連携、責任の所在、機材の共有、費用の5つの点から別々に頼む場合と比べました。まとめて頼むときの注意点と、アイフィルムでお任せいただける範囲も紹介します。
イベントの「音響・映像・進行」に含まれる仕事
まずは、イベントの技術まわりと進行にどんな仕事があるのかを整理しておきます。
| 分野 | 主な内容 | 本番中の動き |
|---|---|---|
| 音響(PA) | マイク、スピーカー、BGM、効果音 | 話す人に合わせて音量を調整し、BGMを出し入れする |
| 映像(スクリーン投影・VTR出し) | プロジェクターとスクリーン、スライド、オープニング映像など | 合図に合わせて映像を流し、画面を切り替える |
| 照明 | ステージの明るさ、色の演出 | 場面に合わせて明るさや色を切り替える |
| 記録撮影 | 式や講演の様子を映像で残す | 進行に合わせてカメラを向け、登壇者や会場を撮る |
| 配信 | 会場に来られない人へ映像と音を届ける | 映像と音を配信し、トラブルがないか見守る |
| 進行管理 | タイムキープ、出演者の誘導、受付 | 全体の時間と段取りを見て、各担当に指示を出す |
一覧にすると別々の仕事に見えますが、本番では同時に動く場面がたくさんあります。たとえばオープニング映像を流すときは、照明を落とし、スクリーンに映像を出し、映像の音を会場のスピーカーから流し、記録用のカメラはスクリーンを撮り、配信には映像そのものを送ります。一つのきっかけ(合図)で、5つの分野が同時に動くわけです。

別々に頼む場合とまとめて頼む場合の違い
それぞれの分野を別の業者に頼む場合と、1社にまとめて頼む場合の違いを、5つの点で比べてみます。
| 比べる点 | 別々に頼む場合 | まとめて頼む場合 |
|---|---|---|
| 打ち合わせ | 業者ごとに行い、内容を主催者が伝え直す | 一度の打ち合わせで全体を共有できる |
| きっかけの連携 | 当日、業者どうしで合図を合わせる必要がある | 同じチームが一つの台本で動く |
| 責任の所在 | トラブルの原因がどこにあるか切り分けに時間がかかることがある | 窓口が一つで、原因の確認から対処まで任せられる |
| 機材の共有 | 業者ごとに機材を持ち込み、接続の調整が必要 | 音や映像の配線を一つの計画で組める |
| 費用 | 分野ごとに比べやすい | 打ち合わせや下見、機材の重なりを減らしやすい |
別々に頼む良さは、分野ごとに専門の会社を選べることです。すでに付き合いのある業者がいる場合や、ある分野だけ特別な演出をしたい場合は、別々の依頼が合っていることもあります。一方、担当者が少ない、初めての催しで全体の段取りに不安がある、といった場合は、まとめて頼むと準備の負担が軽くなります。
とくに違いが出る3つの項目
1. きっかけの連携
本番で一番差が出やすいのが、きっかけの連携です。オープニングの場面を例にすると、次のように複数の操作が続きます。
| 順番 | きっかけ | 照明 | 映像 | 音響 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 司会「ただいまより開会いたします」 | 客席を暗くする | — | 客入れBGMを下げる |
| 2 | 司会「まずはこちらをご覧ください」 | ステージも暗くする | オープニング映像を再生 | 映像の音を出す |
| 3 | 映像が終わる | ステージを明るくする | スクリーンを会社ロゴに切り替え | 登壇の音楽を流す |
| 4 | 主催者が演台に立つ | — | — | 演台のマイクを入れる |
この流れを別々の業者が担当すると、「映像が始まったのに照明がまだ明るい」「映像が終わったのに音楽が流れない」といったずれが起きやすくなります。それぞれの担当者は自分の仕事をきちんとしていても、合図の受け渡しがわずかに遅れるだけで、会場からは「間」が目立ってしまいます。
まとめて頼む場合は、同じチームが一つの進行台本を見ながら、互いに声をかけ合って操作できます。リハーサルで気づいた修正も、その場で全員に共有できます。進行台本へのきっかけの書き込み方は、イベントの音響トラブルを防ぐ事前確認事項で紹介しています。
2. 責任の所在とトラブル対応
たとえば本番中に「VTRの音が出ない」というトラブルが起きたとします。原因として考えられるのは、映像を流すPCの設定、PCと音響卓をつなぐケーブル、音響卓の設定など、複数の業者の機材にまたがっています。
別々に頼んでいる場合は、映像の担当と音響の担当がそれぞれ自分の機材を確認し、原因を探すことになります。その間、主催者はどちらに声をかければよいか迷い、進行も止まってしまいます。
まとめて頼んでいる場合は、音と映像の流れを同じチームが把握しているため、原因の確認から対処までを一本の窓口で進められます。主催者は「止めるか、続けるか」の判断に集中できます。
3. 機材・配線・電源の共有
音響の音を、記録撮影や配信にそのまま使える 記録撮影や配信では、会場の空気感に加えて、話している人の声をはっきり届けたいところです。音響卓(ミキサー)の音をそのまま撮影や配信に送れば、挨拶や講演の声をはっきり残せます。別々の業者でもこの接続はできますが、事前にどこから、どんなケーブルで音をもらうかを決めておく必要があります。
機材どうしをつなぐときのノイズ 別々の業者の機材を接続すると、「ブーン」というノイズが乗ることがあります。原因の一つがグランドループと呼ばれる現象で、機器の間にアイソレーター(ノイズを断ち切る機器)を入れて取り除く方法があります。アイフィルムでは、この用途に使うRadial IceCubeを用意しており、演説会のライブ配信でも使いました(演説会のライブ配信の事例)。
ワイヤレス機器と電源の計画 ワイヤレスマイクは、周波数がぶつかると混線して使えなくなることがあります。複数の業者がそれぞれワイヤレス機器を持ち込む場合は、使う周波数を事前にすり合わせておく必要があります。音響・映像・照明・配信の機材はどれも電気を使います。まとめて頼めば、機材全体の消費電力をふまえて、どのコンセントや回路から電源を取るかを一つの計画で組めます。

費用はどう変わる?
まとめて頼むと、各分野の作業そのものがなくなるわけではありません。音響にも映像にも、それぞれの機材と担当者が必要です。まとめて頼むことで減らしやすいのは次のような部分です。
- 業者ごとの打ち合わせや下見の回数
- 配信用に別のマイクやミキサーを用意するなど、機材の重なり
- 業者ごとにかかる出張や搬入の手間
別々に頼むほうが、分野ごとの金額を比べやすいという良さもあります。まとめて頼む場合でも、見積書は分野ごとの内訳を出してもらうと、どこにいくらかかっているかがわかりやすくなります。
参考までに、アイフィルムのサイトに掲載している料金の目安は次のとおりです。
| サービス | 料金の目安 |
|---|---|
| 音響PA | 当日基本料金 60,000円/日〜(機材+オペレーター1名込み・税別) |
| ライブ配信 | ライト配信(カメラ1〜2台・配信2時間まで)6.5万円(税別)から。カメラ2〜3台のスタンダード配信は15万円から |
| イベント運営 | 半日程度・参加者50名ほどのセミナー運営サポートで20万〜40万円前後が目安 |
| 照明・記録撮影 | 内容に合わせて別途お見積り |
音響PAの料金の内訳はイベント音響(PA)の料金はどう決まる?、配信の料金はライブ配信の費用相場で詳しく解説しています。
まとめて頼むときの注意点
得意な分野と、担当の体制を確認する
まとめて頼める会社でも、得意な分野はそれぞれ違います。依頼する前に、次のような点を確認しておきましょう。
- 同じような規模・内容のイベントでの実績があるか
- どの分野を自社のスタッフが担当し、どの分野を協力会社が担当するか
- 当日、全体をまとめる責任者は誰か
当日の連絡体制を決めておく
窓口が一つになっても、当日の連絡体制は事前に決めておく必要があります。主催者側の窓口を一人に決め、業者側の責任者と直接やり取りできるようにしておきます。進行に変更が出たときに、その責任者へ伝えれば全体に共有される、という流れができていると、当日あわてずに済みます。
一部だけ別の業者になる場合は、つなぎ方を確認する
会場に専属の音響担当がいる、映像は別の制作会社が作っている、というように、一部だけ別の業者が入る場合もあります。その場合は、音や映像をどこで受け渡すのか、誰が操作するのかを事前に決めておきます。
よくある質問
Q. 音響だけ、配信だけといった一部の依頼もできますか?
はい、できます。音響PAだけ、ライブ配信だけといったご依頼も承っています。音響に記録撮影や照明を組み合わせるなど、必要な分野だけを選ぶこともできます。
Q. 会場の音響設備や、ほかの業者さんの機材と組み合わせられますか?
組み合わせられます。会場のミキサーからライン音声をもらって記録や配信に使うこともできますし、既存のスピーカーやミキサーに接続して、足りない機材だけを持ち込むこともできます。
Q. 司会者もお願いできますか?
式典などでは、司会者の手配や式次第の作成からご相談いただけます。当日の司会進行のサポートやタイムキープも担当します。
Q. 内容がまだ決まっていなくても相談できますか?
はい。日程と会場がわかれば、必要な機材や人数の目安をお伝えできます。プログラムが固まっていく段階で、構成を一緒に整理していきます。
アイフィルムでまとめてお任せいただける範囲
アイフィルムは映像制作会社として、音響と映像の両方を手がけています。イベントでは、次の範囲をまとめてお任せいただけます。
| 分野 | アイフィルムでの対応 |
|---|---|
| 音響PA | ヤマハ中心の機材とオペレーターで、会場の隅々まで声を届けます |
| スクリーン投影・VTR出し | オープニング映像やスライドを、音響と連動してタイミングよく流します |
| 照明 | RGBW LEDウォッシュバーとDMXコントローラーで、ステージを彩ります |
| 記録撮影 | 業務用カメラで記録し、全編の記録やダイジェストに編集して納品します |
| ライブ配信 | 最大8台のカメラを切り替え、YouTubeやZoomで配信します |
| 映像制作 | オープニング映像の事前制作や、当日の様子をその場で編集して上映する「撮って出し」 |
| 当日運営・進行管理 | 受付対応、司会進行のサポート、出演者の誘導、タイムキープ、トラブル対応 |
| 会場づくり | 会場レイアウトの設計、仮設分電盤を設けた電源工事 |
新潟県内の体育館を会場にした地域の大型イベントでは、会場レイアウトの設計、ブースの設営、仮設分電盤を設けた電源工事、音響・映像・記録撮影までを毎年担当しています。新潟市内のホテルでは、会場のプロジェクターへの投影とZoomウェビナーの配信を、それぞれ別のレイアウトで同時に運用しました(講演会・セミナーのZoomウェビナー/ハイブリッド開催の事例)。
音響と映像を一つの窓口でお任せいただくことで、打ち合わせも見積もりも一度で済み、本番は同じチームで動けます。
イベント全体の運営はイベント運営・音響、音響の料金と機材は音響PA、配信についてはライブ配信のページをご覧ください。学校や教育イベントでの対応例は学校・教育イベントの音響と映像、式典の記録は式典・周年行事・研修の記録撮影にまとめています。内容が固まる前でも、日程と会場をお問い合わせからお知らせいただければ、必要な機材と人数の目安をお伝えします。

