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VHSテープのダビングは早めに|劣化の仕組みとデジタル化の方法を解説

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押し入れや実家の棚の奥に、子どもの運動会や結婚式、会社の記念行事を録画したVHSテープが眠っている。「いつか見よう」と思っているうちに、テープも、それを再生するビデオデッキも、年々使える状態のものが減っています。

ビデオテープが傷む仕組み

VHSなどのビデオテープは、薄いプラスチックのフィルムに、磁気を帯びる細かい粒を接着剤のような層で塗り付けた構造です。オーストラリアの国立映画・音響アーカイブの研究者による報告では、磁気テープの主な部品を「ベース(土台のフィルム)」「磁性体(記録を担う粒)」「バインダー(粒を固定する層)」の3つとし、なかでもバインダーが一番弱い部分だとしています。

国立国会図書館の「よくあるご質問」では、録音テープのような磁気テープの寿命は30年といわれている、と紹介されています。同館のカレントアウェアネスに掲載された記事によると、1976年の登場から2000年代半ばまでに、VHSデッキは推定9億台、テープは300億本販売されたといわれているそうです。それだけ多くの家庭や会社に、テープが残っています。

テープの傷み方は、保管されてきた場所の温度や湿度によって大きく変わります。

劣化主な原因見た目・症状の例
べたつき(加水分解)湿気をバインダーが吸う再生中にキュルキュルと鳴る、再生機のヘッド(読み取り部品)に汚れが付く
カビ高い湿度での保管テープの表面やケースにカビが見える、再生機に汚れが残る
変形巻き途中での長期放置、積み重ね、温度変化テープの端が波打つ、しわが寄る、映像が乱れる
ビネガーシンドロームアセテート素材の分解(素材による)酢のようなにおい、変形、もろくなる

湿気によるべたつき(加水分解)

アメリカアーキビスト協会の用語集では、湿度が高い環境でバインダー(多くはポリウレタン)が水分を吸って柔らかくなる反応を「バインダーの加水分解」と説明しています。症状が進むと再生時にカタカタ・キュルキュルと鳴り、重い場合は磁気の層が土台から剥がれたり、再生機がべたついた汚れで詰まったりすることがあるとされています。この状態は「スティッキー・シェッド(べたつきと剥がれ)」とも呼ばれます。

べたついたテープをそのまま再生すると、テープ自体も再生機も傷めてしまうおそれがあります。再生中に異音がしたら、すぐに止めるのが安全です。

カビ

アメリカ国立公園局の保存資料では、高い湿度で保管した媒体はべたついたりカビが生えたりして、再生機に汚れを残すことがあると注意しています。押し入れや物置、湿気のこもりやすい部屋に長く置かれていたテープは、カビの有無を見ておきましょう。同じ資料では、カビの生えたテープはクリーニングしてから複製し、使った機器もあとで清掃するよう案内しています。カビの付いたテープは、そのまま再生しないでください。

テープの変形

ソニーの業務用メディアの技術資料では、テープを巻き途中の状態で取り出して長期間放置すると、その部分に物理的な変形が起きて記録や再生に影響することがある、と説明しています。ケースに入れずに積み重ねると重みでカセットが変形したり、崩れて破損したりするおそれがあるとしています。アメリカ国立公園局の資料でも、高温・低温や温度の上がり下がりをくり返す場所での保管は、テープが伸びたり変形したりする原因になると注意しています。

ビネガーシンドロームは素材で変わる

「ビネガーシンドローム」は、アセテート(酢酸セルロース)でできたフィルムやテープが加水分解し、酢酸が出て傷んでいく現象です。カナダ保存研究所によると、カセットテープやビデオテープ、1970年以降のオープンリールの録音テープはポリエステル製で、アセテートが使われていたのは1970年以前の多くのオープンリールの録音テープです。VHSで心配すべきなのは、主にべたつき・カビ・変形のほうです。

なお、マイクロフィルムなどのフィルムでは、TAC(セルロースエステル)を土台にしたものが加水分解で酢酸を出して劣化することがあると、国立国会図書館が説明しています。

テープより先に「再生機」がなくなる

テープが無事でも、再生する機械がなければ映像は見られません。国内では、船井電機が2016年7月末で家庭用VHSビデオデッキの生産を終えたと報じられています。同じ報道では、同社が理由として部品の調達が難しくなったことを挙げたことや、パナソニックなどの大手メーカーが2011年にすでに生産を終えていたことも伝えられています。

家電製品の修理用部品には、メーカーごとに保有期間が決められています。たとえばパナソニックの案内では、保有期間の始まりは「その製品の製造を打ち切ったとき」とされ、デジタルビデオカメラは8年です。生産終了から年月がたつほど、故障したビデオデッキを修理するのは難しくなっていきます。

マグネティック・テープ・アラートとは

こうした状況を受けて、2019年7月、ユネスコの「みんなのための情報プログラム(IFAP)」と国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)が共同で出した警告が「マグネティック・テープ・アラート」です。動作する再生機器はスペアパーツの供給もサービスも終わり、急速に失われつつあるため、テープからのコンテンツの転送は2025年頃にできなくなる可能性が高い、という内容です。

日本でも、国立映画アーカイブが2021年10月に緊急フォーラム「マグネティック・テープ・アラート:膨大な磁気テープの映画遺産を失う前にできること」を開いています。

2025年を過ぎたからといって、すべてのテープが一斉に見られなくなるわけではありません。ただ、動作する再生機や部品が減っていく流れは続きます。テープが手元にあるなら、早めにデジタル化しておくのが確実です。

ダビングまでの保管で気をつけること

すぐにダビングできない場合も、保管の仕方で傷みの進み方は変わります。ソニーの業務用メディアの技術資料と、オーストラリア国立映画・音響アーカイブの家庭向けの案内をもとに、保管のコツを挙げます。

気をつけること具体的な方法
温度・湿度ソニーの資料では温度15〜25℃、湿度40〜60%での保存を案内(オーストラリア国立映画・音響アーカイブは18〜24℃、35〜45%を推奨)
置き方ケースに入れて立てて保管する。ケースなしで積み重ねない
巻き取り巻き途中のまま長く置かない。保管の前に端まで巻き取っておく
磁気スピーカーなど強い磁気が出るものの近くに置かない
温度差寒い場所から暖かい部屋に移したときは結露に注意し、なじませてから再生する
置き場所夏の車内など高温になる場所や、飲み物・食べ物と同じ場所に置かない

ソニーの資料では、夏場の車内は80〜90℃以上になることがあると注意しています。テープを運ぶときは、車内に置いたままにしないでください。

再生機とモニターで映像を確認

ダビングの流れと、DVD・データの違い

ダビングの一般的な流れ

業者に頼む場合も、自分で行う場合も、おおまかな流れは同じです。

  1. テープの種類と本数を確認する:VHS、VHS-C、8mmビデオ(Hi-8)、MiniDVなど、テープの種類によって使う再生機が変わります。
  2. ラベルを確認・整理する:「〇年 運動会」など中身がわかるメモを付けておくと、仕上がったDVDやデータの整理が楽になります。
  3. テープの状態を確認する:カビやべたつき、変形がないかを見ます。
  4. 再生しながら取り込む:テープの映像は再生しながら記録するため、録画時間と同じだけの時間がかかります。
  5. DVDやデータに書き出して確認する:最後まで映像と音が入っているかを確認します。

DVDとデータの違い

仕上がりの形は、主にDVDと動画データ(MP4など)の2つで、使い方に合わせて選びます。

比べる点DVD動画データ(MP4など)
見る方法DVDプレーヤーやレコーダーでテレビに映すパソコンやスマートフォン、タブレットで見る
家族や親戚に配るディスクを渡すだけで見てもらえるクラウドなどで共有できる
編集・再利用取り出しに手間がかかる動画編集ソフトですぐに使える
保存の目安国立国会図書館によると、光ディスクは条件が良ければ20〜30年使えるとされる国立国会図書館によると、ハードディスクの寿命は5年程度、フラッシュメモリーのデータ保持期間は10年程度
注意点強い光で劣化することがある。傷に注意機器の故障に備え、別の場所にもコピーを残す

テレビで気軽に見たい、年配の家族に渡したいという場合はDVDが便利です。周年記念の映像や会社紹介の素材として使いたい場合は、編集しやすいデータが向いています(古い映像を式典の映像に使う方法は周年記念・式典のオープニング動画の作り方で紹介しています)。

どちらを選んでも、デジタル化したあとの保管まで考えておきます。国立国会図書館のカレントアウェアネスの記事では、保存用と閲覧用のファイルを作り、それぞれ2つ以上のバックアップを、異なる種類のメディアで地理的に異なる場所に保存し、移し替え(マイグレーション)を続けることが必要だと紹介されています。家庭や会社でも、DVDとデータの両方で持っておく、データは2か所に保存しておく、といった工夫で、失うリスクを減らせます。

自分でダビングする場合と業者に頼む場合

自分でダビングすることもできます。必要な機材と時間、テープの状態を見て決めてください。

比べる点自分でダビング業者に依頼
必要なもの動作するビデオデッキ、DVDレコーダーやパソコン用の取り込み機器テープを渡すだけ
時間録画時間と同じだけかかる。本数が多いと長期戦作業の時間を自分で取る必要がない
テープの種類種類ごとに対応する再生機が必要複数の種類をまとめて頼める
傷んだテープべたつきやカビのあるテープは、テープや再生機を傷めるおそれ状態を見たうえで相談できる
費用機材がそろっていれば材料費のみ本数や種類に応じた料金

数本だけで動作するデッキが手元にあるなら、自分で取り込む方法も選択肢になります。本数が多い場合や種類が混ざっている場合、カビやべたつきが気になる場合は、業者にまとめて頼むほうが確実です。

ダビングに使う複数のビデオデッキ

よくある質問

Q. カビが生えたテープもダビングできますか?

カビやべたつきの程度によって、再生できるかどうかが変わります。無理に再生するとテープや再生機を傷めることがあるため、ご自身で再生を試す前にご相談ください。テープの状態をお伺いしたうえで、対応をご案内します。

Q. VHS以外のテープにも対応していますか?

アイフィルムでは、VHSのほか、VHS-C、8mmビデオ(Hi-8)、MiniDV、Beta、マイクロMV、35mmフィルムのダビングに対応しています。オープンテープなどの特殊なテープは別途お見積りとなります。

Q. 料金はどのくらいですか?

VHS/VHS-C/Beta/MiniDV/Hi-8は、1枚あたり1,650円でお受けしています。オープンテープなどの特殊なテープは別途お見積りです。本数が多い場合も、お問い合わせください。

Q. DVDではなくデータで受け取ることはできますか?

アイフィルムのVHSテープダビングは、DVDへのダビングです。動画編集などに使うために、MP4などの動画データで受け取りたい場合は、ご相談ください。

アイフィルムのVHSテープダビング

アイフィルムは、新潟県糸魚川市と新潟市に拠点を持つ映像制作会社です。VHSテープダビングでは、劣化やカビで見られなくなる前に、大切な映像をDVDへダビングしています。VHS・VHS-C・8mmビデオ(Hi-8)・MiniDV・Beta・マイクロMV・35mmフィルムに対応しています。

白黒の古い映像が見つかった場合は、モノクロ映像カラー化もご用意しています。テープの種類や本数がわからないときは、手元にあるテープの写真を添えてお問い合わせください。

参考にした情報
  • 7年連続いといがわキャリアフェスティバルの音響・映像・会場設営
  • 国家資格二等無人航空機操縦士(夜間・目視外の限定解除)
  • 電気工事士イベントの仮設電源も自社で施工
  • 自治体の案件新潟県内の入札・プロポーザルに参加
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