
採用動画では、何を、どんな順番で見せればいいのか。作ろうと決めたとき、最初に迷うのがここです。会社の歴史、事業内容、福利厚生、社員の声と、伝えたいことを全部入れると長くなり、途中で見るのをやめられてしまいがちです。応募につながる採用動画は、見せる相手と内容をしぼり込んだうえで、それに合った型を選んでいます。
採用動画の「構成」について、企画の段階で発注側が決めておきたいことをまとめました。費用については採用動画の費用相場と制作費の考え方で、インタビューの撮影技術についてはインタビュー動画の撮影・制作完全ガイドで紹介しています。
最初に決めるのは「誰に応募してほしいか」
同じ会社でも、新卒の学生と転職を考える社会人では、知りたいことが違います。採用動画プラットフォームを運営する株式会社moovyが2023年1月に行った調査(2023年卒の就活生110人ほか)では、新卒の就活生がいちばん見たい内容は「会社説明会・事業紹介」(64.5%)だったのに対し、転職者では「1日のスケジュール」(38.7%)が最多でした。
| 見せる相手 | 知りたいこと | 構成の工夫 |
|---|---|---|
| 新卒(学生) | どんな会社か、どんな仕事があるか、先輩はどんな人か | 事業の全体像を短く伝えたうえで、年の近い若手社員に登場してもらう |
| 中途(転職者) | 具体的な仕事内容、一日の流れ、働き方、評価や制度 | 職種をしぼり、実際の業務の様子を具体的に見せる |
| 地元志向の人(Uターン含む) | 地元で働き続けられるか、暮らしと仕事の両立 | 地域の中での会社の役割、通勤や休日の過ごし方など生活のイメージも添える |
地元で働きたい人は少なくありません。マイナビの調査(2027年卒の大学生・大学院生2,800人、2026年3〜4月)では、地元就職を希望する学生は58.7%で、4年ぶりに増えました。一方、地元就職を希望しない学生が「実現すれば地元就職するかもしれない」と答えた条件は、「給料がよい就職先が多くできる」42.9%、「働きたいと思うような企業が多くできる」40.3%でした。地方の会社にとっては、「ここで働きたい」と思える仕事の魅力を具体的に見せることが、そのまま地元志向の人へのメッセージになります。
相手を一つに決めきれない場合は、メインの動画を1本作り、新卒向け・中途向けに別の短い動画を用意する方法もあります。

採用動画で伝えたい5つの内容
まず、求職者が採用動画のどこを見ているのかを、公表されている調査から確認しておきます。
エン・ジャパン株式会社が『エン転職』の利用者1,393名に行った調査(2025年4月)では、転職活動中に企業の採用動画を1本以上見た人は36%でした。採用動画が志望度に「影響がある」「少し影響がある」と答えた人は合わせて42%です。志望度を上げる内容・下げる内容の上位は、どちらも「仕事紹介」「1日の流れ」「会社・事業紹介」の順でした。
同じくmoovyの調査(2026年5月、採用動画を見たことがある20〜40代の333名)では、志望度が上がった理由として「企業への親近感」36.5%、「社員の人柄」34.2%、「入社後のイメージ」32.3%、「職場の雰囲気」31.2%が挙がっています。
2つの調査からは、採用動画で効いているのが「仕事の中身」と「一緒に働く人や雰囲気」だとわかります。見る人が入社後の自分を思い描けるかどうかが、構成を考えるときの軸になります。
これをふまえて、伝える内容は次の5つから優先順位をつけて選びます。見せる相手に合わせて2〜3つに重点を置くと、印象に残る動画になります。
1. 仕事の中身
調査で志望度を最も左右していたのが「仕事紹介」です。「営業職」「製造スタッフ」といった職種名だけでは、実際に何をするのかは伝わりません。手元の作業、使う道具や機械、お客様とのやりとりなど、その仕事ならではの場面を映すと、見る人が自分に置き換えやすくなります。
2. 一日の流れ
出社してから帰るまでを時間の順に追うと、働き方が具体的に伝わります。朝礼、現場への移動、昼休み、終業の時間など、ありのままの流れを見せると、入社後の自分の一日を重ねて見てもらえます。
3. 人
「どんな人と働くのか」は、文章では伝えにくい情報です。社員の話し方や表情、同僚とのやりとりから、会社の人柄が伝わります。役職や年次の違う社員に登場してもらうと、入社後の成長の道筋も見えてきます。
4. 職場の雰囲気
オフィスや工場、休憩スペース、社員同士の会話など、インタビュー以外の映像(Bロール=話の合間に入れる補足の映像)が雰囲気を伝えます。整えすぎず、普段の様子をそのまま撮ります。
5. 待遇の伝え方
給与や休日などの待遇は、応募を決める大事な情報です。ただし、金額や制度の細かい条件は改定のたびに変わります。2022年10月に施行された改正職業安定法では、求人の情報について虚偽や誤解を生じさせる表示を禁止し、正確で最新の内容に保つことが求められています。
そこで、変わりやすい数字は求人票や採用サイトに任せ、動画では「制度が実際にどう使われているか」を見せます。たとえば「育休から復帰した社員の一日」「資格取得の支援を受けた社員の話」のように、人を通して伝えると、数字よりも具体的に伝わります。
構成の型は4つ。目的に合わせて選ぶ
採用動画の構成には、よく使われる型が4つあります。組み合わせて使うことも多いです。
| 型 | 向いている内容 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 社員インタビュー | 人柄、仕事のやりがい、入社の理由 | 話だけが続かないよう、仕事中の映像を合間に入れる |
| ドキュメンタリー | 仕事へのこだわり、会社の想い、現場のリアル | 撮影に時間がかかるため、撮りたい場面を事前に共有する |
| 一日密着 | 一日の流れ、具体的な業務、働き方 | 主役の社員の業務に合わせた撮影スケジュールを組む |
| アニメーション/インフォグラフィック | 事業の仕組み、数字(男女比・平均年齢など)、キャリアの道筋 | 人の温度感が伝わりにくいため、実写と組み合わせると効果的 |
インフォグラフィックとは、数字や仕組みを図やイラストで見せる表現です。「どんな製品が、どこで使われているか」のように、実写では見せにくい事業の全体像を短く伝えられます。
社員インタビュー型の構成例(約2分)
最も取り入れやすい社員インタビュー型を例に、構成の流れを示します。
| 時間 | 内容 | 映像のイメージ |
|---|---|---|
| 0:00〜0:10 | つかみ | 仕事中の印象的な場面と、短いひとこと |
| 0:10〜0:30 | 会社・事業の紹介 | 社屋や現場の映像、インフォグラフィック |
| 0:30〜1:20 | 社員インタビュー(2〜3名) | 入社理由、仕事内容、やりがい。合間に業務の映像 |
| 1:20〜1:45 | 職場の雰囲気 | 休憩中の会話、チームでの打ち合わせ |
| 1:45〜2:00 | 締めとメッセージ | 求める人物像、採用ページへの案内 |
インタビューで聞く質問の作り方や、話し慣れていない社員を自然に撮るコツは、インタビュー動画の撮影・制作完全ガイドで詳しく紹介しています。
尺と使い道を先に決める
採用動画は、どこで流すかによって適した長さが変わります。エン・ジャパンの調査では、採用動画の長さとして適切だと思うのは「1〜3分未満」が46%で最も多く、「1分未満」が19%でした。moovyの2026年の調査では、まったく知らない企業の動画は「30秒以上〜1分未満」が43.8%で最多、志望度が高い企業の動画は「1分以上」が42.0%で最多でした。会社を知ってもらう入口は短く、興味を持った人には長めの動画で詳しく、という使い分けが合っています。
| 使い道 | 長さの目安 | 作り方 |
|---|---|---|
| 会社説明会・合同説明会 | 説明会の時間配分に合わせて数分程度 | 会場の大きな画面で流す前提で、事業紹介から社員の声まで順を追って見せる |
| SNS(Instagram・TikTok・YouTubeショートなど) | 30秒〜1分程度 | 縦型で、最初の数秒に印象的な場面を置く。音を出さずに見る人向けに字幕を入れる |
| 求人サイト・採用ページ | 1〜3分 | 応募前の人が見る想定で、仕事内容と一日の流れを中心にする |
効率がよいのは、撮影を1回にまとめて、長さの違う動画を何本か作る方法です。説明会用のメイン動画を作り、その素材からSNS用の短い動画や職種別の動画を切り出せば、撮影の手間をかけずに使い道を広げられます。撮影の前に「どこで使うか」を制作会社に伝えておくと、縦型用の撮影なども含めて計画できます。

撮影には社員の協力と出演の同意が欠かせない
採用動画の主役は社員です。撮影を進めやすくし、公開後も使い続けられるよう、次の点を準備しておいてください。
出演者の選び方と業務の調整
出演者は、見せる相手と近い立場の社員を選ぶと効果的です。新卒向けなら入社数年目の若手、中途向けなら同じ職種で転職してきた社員といった具合です。撮影の日は、出演者の通常業務を調整し、上司や同じ部署の方にも撮影があることを伝えておきます。
出演の同意は「範囲と期間」まで
社員の顔や声が映った映像は、本人を特定できる情報です。個人情報保護委員会のガイドラインでも、「本人が判別できる映像情報」は個人情報の例として挙げられています。出演をお願いするときは、次の点を書面で確認しておきます。
- 公開する場所(採用ページ、YouTube、SNS、説明会など)
- 公開する期間の目安
- 退職した場合の扱い(公開を続けるか、差し替えるか)
- 名前や所属をテロップで出すかどうか
退職後の扱いは、あとから決めようとすると判断が難しくなります。最初に決めておけば、出演する社員も会社も安心です。
撮影場所の写り込みにも注意
職場で撮影するときは、パソコンの画面、書類、ホワイトボード、お客様の情報などが映り込まないよう確認します。撮影当日までの準備については、撮影当日までに準備しておくべき5つのことにまとめています。
アイフィルムでの採用動画づくり
アイフィルムでは、働く人の普段の姿と会社の考えを映像にし、求職者が「応募してみたい」と思える採用動画を制作しています。ヒアリングでは、見せる相手、使う場所、伝えたい内容の優先順位を一緒に整理し、構成をご提案します。
これまでに、株式会社橋立様の企業紹介動画や株式会社エスアール様の会社紹介動画、糸魚川市観光協会様の漁師密着動画などを制作してきました。実写の撮影に加えて、3DCGやインフォグラフィックで事業の仕組みを見せる表現や、SNS用の縦型・尺違い・字幕入りといった派生版の制作にも対応しています。撮影には担当者の方にも同行していただき、イメージにずれがないかを確認しながら進めます。
採用動画の制作内容は採用動画のサービスページ、演出や撮影の詳細はプロモーション動画、ほかの作品は制作実績、予算の考え方は採用動画の費用相場と制作費の考え方をご覧ください。「まだ何を伝えるか決まっていない」段階でも、お問い合わせからご相談いただけます。
よくある質問
Q. 社員が出演をためらっている場合はどうすればよいですか?
インタビューは、台本を読み上げる形ではなく、質問に答えてもらう形にすると話しやすくなります。顔を出さずに手元の作業や後ろ姿を中心に撮る方法や、ナレーションとインフォグラフィックで構成する方法もあります。出演の範囲と公開期間を事前に説明しておくことも、安心につながります。
Q. 1本の動画を説明会にもSNSにも使えますか?
使えますが、長さと画面の向きが違うため、そのまま流すより編集し直すほうが効果的です。撮影の段階で使い道を決めておけば、同じ素材から説明会用・SNS用・求人サイト用を作り分けられます。
Q. 給与や休日の数字は動画に入れたほうがよいですか?
数字は改定のたびに古くなるため、求人票や採用ページで最新の情報を示し、動画では制度を使っている社員の様子を見せる方法がおすすめです。動画に数字を入れる場合は、改定時に差し替える前提で、テロップだけ修正しやすい作りにしておきます。
Q. 新卒向けと中途向け、両方作るべきですか?
採用の中心がどちらかによって決めます。両方が必要な場合は、会社紹介のメイン動画を共通にして、新卒向け・中途向けに短い動画を追加すると、撮影を1回にまとめながら作り分けられます。


