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ワイヤレスマイクが途切れる・混信する原因と対策|周波数帯と本番前の準備

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合同会社アイフィルムの小池です。

式典のあいさつの途中で声がブツッと切れる。質疑応答のマイクから「ザー」というノイズが出る。隣の部屋の声がスピーカーから聞こえてくる。ワイヤレスマイクのトラブルは、会場にいる全員が気づくため、主催者にとっては冷や汗ものです。

電波で音を送るワイヤレスマイクのトラブルは、原因の多くにパターンがあり、本番前の準備で減らせます。マイクの種類の基本はマイクの種類と使い分けで紹介しているので、ここでは電波のトラブルに絞ります。

ワイヤレスマイクが途切れる・ノイズが出る主な原因

症状考えられる主な原因まず確かめること
音が途切れる・小さくなる電池の消耗、受信機との距離、人や金属による遮蔽電池の残量、話す人と受信アンテナの位置関係
「ザー」「ブツッ」というノイズ電波が届かない瞬間に受信機が雑音を拾う受信機の電波の表示、送信機の電源
ほかの人の声や音が混ざる同じ周波数・近い周波数のマイク(混信)同じ建物や隣の会場で使われているマイク
特定の場所でだけ切れる壁や金属での反射による「電波の陰」切れる場所を歩いて確認する

電池の消耗

送信機(マイク本体やベルトに付ける小型の機器)は電池で動きます。途切れや音切れが起きたら、最初に確かめるのが電池の残量です。持ち時間は機種によって違い、たとえば販売店の製品情報では Shure BLX288/SM58 のハンドマイクは単3形アルカリ電池2本で最大14時間、ゼンハイザーのB帯ワイヤレスマイクガイドでは機種によって約8〜10時間とされています。

距離と遮蔽物、そして人の体

電波は、送信機と受信アンテナの間に障害物が少ないほど安定します。Shureの解説では、主に塩水でできている人間の体は電波を吸収しやすく、送信機と受信アンテナの間に人がいると、一般に約6dB減衰するとされています。客席が人で埋まると、リハーサルのときより電波が届きにくくなることがあるのはこのためです。金属の障害物は電波を反射し、その裏側に電波の届きにくい「デッドゾーン」ができることがあります。

ピンマイクの送信機は、付け方にも気をつけます。ゼンハイザーのガイドでは、送信機のアンテナを体に触れないように装着することが、受信状況の悪化を防ぐことにつながると案内されています。

同じ周波数帯の機器(混信)

同じ周波数帯のマイクどうしは、チャンネルが重なったり近すぎたりすると混信します。Shure日本のFAQでは、同じ800MHz帯でも互換性のない別シリーズを一緒に使うと混信が起こるとして、追加するなら同じシリーズを選ぶよう案内されています。持ち込みのマイクと会場のマイクを混ぜて使うときは、特に確認が必要です。

Shureの解説によると、送信機の数が増えるほど、電波どうしが混ざって新たな不要な周波数(相互変調)が生まれやすくなり、送信機どうしが近いほどその影響は強くなります。

近くの会場・隣の部屋

B帯は免許なしで使えるため、ホテルや会議場、学校などで広く使われています。同じ建物の別の宴会場や、隣の会議室でも同じ帯域のマイクが使われていることがあります。ユニペックスのカタログでは、同じグループのマイクを近くの場所で同時に使う場合の標準例として、お互いの使用場所を100m以上離す(鉄骨・鉄筋構造なら垂直距離で10m以上、木造は不可)という目安が示されています。設置場所によって数値は大きく変わるとも書かれているため、最終的には現地で確かめます。

講演会場に設営した演台と音響機材

B帯・A帯・1.9GHz帯・2.4GHz帯の違いと、免許・運用調整の要否

日本で使われる主なワイヤレスマイクの周波数帯と、免許・運用調整(使う場所や周波数を事前に調整すること)の要否は次のとおりです。

区分周波数無線局の免許運用調整主な用途・特徴
B型(B帯)806〜810MHz不要(特定小電力無線局)不要(混信のおそれあり)ホテル、結婚式場、会議場、学校、集会場など
A型(特定ラジオマイク)470〜714MHz、1.2GHz帯(1240〜1260MHz)必要必要放送番組の収録、舞台、コンサートホール、大規模イベント会場など
1.9GHz帯1893.5〜1906.1MHz(DECT準拠)不要―800MHz帯のマイクと共存でき、既存設備への増設に使える
2.4GHz帯2.4GHz帯不要―B帯と別の帯域で併用できる。無線LANと同じ帯域

「800MHz帯の特定ラジオマイク」は新しい周波数帯へ移行済み

以前は、特定ラジオマイク(A帯)も770〜806MHzの800MHz帯を使っていました。この帯域は携帯電話事業者などに引き継がれることになり、Shureの案内によると、旧A帯の特定ラジオマイクの使用は2019年3月31日までとされています。現在の特定ラジオマイクは、テレビ放送の空きチャンネル(ホワイトスペース)を含む470〜714MHzと、1.2GHz帯を使います。いま「800MHz帯のワイヤレスマイク」といえば、基本的には免許不要のB帯のことです。

特定ラジオマイクの「運用調整」とは

特定ラジオマイクは、音響事業者や放送事業者などが免許を受けて使う、プロ用のワイヤレスマイクです。一般社団法人 特定ラジオマイク運用調整機構の資料では、運用調整について、A型は「必要(混信の恐れ無し)」、B型は「不要(混信の恐れあり)」と整理されています。ホワイトスペースで使う場合は、地上デジタル放送で使われていない空きチャンネルで、かつ放送に混信を与えない周波数を使う必要があり、その周波数は場所ごとに異なります。

1.9GHz帯と2.4GHz帯の特徴

1.9GHz帯は、DECTという方式に準拠したデジタルワイヤレスマイクです。パナソニックのカタログでは、チャンネルの使用状況を常に監視して安全なチャンネルを選ぶ自動干渉回避機能があり、800MHz帯のワイヤレスマイクと共存できると説明されています。

2.4GHz帯は免許不要のデジタルワイヤレスで、B帯とは別の帯域のため、B帯のマイクと併用できます。ただし、2.4GHz帯は無線LAN(Wi-Fi)と同じ帯域です。総務省の説明会資料では、2.4GHz帯を使う電子レンジ、コードレス電話、Bluetooth機器などが近くで使われていると、電波干渉による通信障害が起こることがあるとされています。会場のWi-Fiや配信機材、来場者のスマートフォンが多い場所では、本番と同じ状況でテストしておくと、干渉の有無を事前に確かめられます。

本番前の対策①:周波数スキャンとチャンネルプラン

周波数スキャンは「全部の送信機を切って」から

多くの受信機には、周りの電波を調べて空いている周波数を探すスキャン機能があります。たとえば Shure BLX288 の受信機には、ワンタッチで使える周波数スキャン機能(QuickScan)が備わっています。ゼンハイザーのガイドでは、スキャンを行う前に全ての送信機の電源をオフにするよう案内されています。電源が入った送信機があると、その電波もスキャンで拾われてしまうためです。

スキャンは、できれば本番と同じ時間帯に行います。隣の会場の催しが午後から始まる場合、午前のスキャンでは空いていた周波数が、本番では埋まっていることがあるためです。

チャンネルプランを作る

チャンネルプランとは、どのマイクにどのチャンネルを割り当てるかを決めた表です。複数のマイクを使うときは、メーカーが決めた同じグループの中からチャンネルを選びます。グループは、相互変調を避けるように組み合わせが用意されています。ユニペックスのカタログでは、壁や戸で仕切られた同じ空間で使えるのは1つのグループで、800MHz帯では6チャンネルまでとされています。Shure日本のFAQでも、BLXシリーズの最大同時運用可能チャンネル数は6とされています。

マイク用途グループ・チャンネル備考
ワイヤレス1司会グループ1・ch1司会台の横に予備の有線マイク
ワイヤレス2あいさつ・来賓グループ1・ch2演台で使用
ワイヤレス3質疑応答(客席)グループ1・ch3係が客席を回る
予備交換用グループ1・ch4電源を切って音響卓に置く

会場備え付けのワイヤレスマイクを一緒に使う場合は、そのマイクのチャンネルも同じ表に書き込みます。同じ日に隣の部屋で催しがあるかどうかは、会場の担当者に確認しておきます。

アンテナの位置と送信機の間隔

受信アンテナは、マイクを使う場所から見通せる位置に置きます。ユニペックスのカタログでは、アンテナはワイヤレスマイクを使う場所から目視できる位置に垂直に設置し、マイクとの距離は2m以上あける、ワイヤレスマイクを2本以上使う場合はお互いに50cm以上離す、といった目安が示されています。

本番前の対策②:電池の交換ルールと予備の有線マイク

電池は、残量の見た目で判断するより、ルールを決めて交換するのが確実です。

タイミングやること
前日まで本数分の新品の電池と、同じ数の予備を用意する
リハーサル前すべての送信機を新品の電池に交換する
本番直前送信機と受信機の電池表示を確認する
長時間のイベント休憩時間に交換する時刻を決めておく
終了後使った電池と新品を混ぜないよう分けて片付ける

カメラに取り付けて音を収録する受信機も電池で動きます。たとえばソニーの URX-P41D の仕様では、電池持続時間は単3形アルカリ電池で約4時間30分です。式典の記録撮影や配信でワイヤレス音声を使う場合は、受信機側の電池交換も段取りに入れておきます。

電池のほかに用意しておきたいのが、予備の有線マイクです。演台や司会台に有線マイクをスタンドで立てておけば、ワイヤレスにトラブルが起きても、話す人がそのまま移動するだけで進行を続けられます。

ワイヤレス受信機 SONY URX-P41D

本番中にトラブルが起きたときの対応

トラブルが起きたら、原因探しより「進行を止めないこと」を優先します。

症状その場での対応落ち着いてから確認すること
声が途切れる予備のマイクに交換するか、有線マイクの位置へ移動してもらう電池の残量、話していた位置とアンテナの間の障害物
ノイズが出続ける該当チャンネルの音量を下げ、予備のマイクに交換する受信機の電波の表示、周りで新しく使われ始めた機器
ほかの声が混ざるそのマイクを止め、空いているチャンネルの予備に切り替える隣の会場の催し、持ち込みのマイクのチャンネル
まったく音が出ない有線マイクを渡す送信機の電源・ミュート、受信機とミキサーの接続

交換用のマイクを誰がどう渡すか、司会と音響担当の合図をどうするかは、事前に決めておきます。当日の連絡体制の決め方は、イベントの音響トラブルを防ぐ事前確認事項で紹介しています。

アイフィルムでのワイヤレスマイクの運用

アイフィルムの音響PAでは、次のマイクを使っています。

機材種類数量
Shure BLX288/SM58ワイヤレス(800MHz帯)・2チャンネル受信機2本(受信機1台)
SONY URX-P41Dワイヤレス受信機(806.125〜809.750MHz)1式(送信機2台)
Shure SM58有線・ダイナミック2本

音響PAの基本セットには、ワイヤレス2本と有線2本のマイクが含まれ、料金は機材とオペレーター1名込みで当日基本60,000円/日(税別)からです。必要に応じて会場の下見を行い、会場のマイクやミキサーと組み合わせる構成もご提案します。料金の目安は音響PAの料金シミュレーターで確認できます。所有機材の一覧は機材のページをご覧ください。

よくある質問

Q. 自分たちで持っているワイヤレスマイクも一緒に使えますか?

同じ周波数帯でも、シリーズが違うと組み合わせられないことがあります。メーカー名と型番を事前にお知らせください。組み合わせを確認したうえで構成をご提案します。お手持ちのマイクには、日本の電波法の基準に合っていることを示す「技適マーク」があるかもご確認ください。

Q. 隣の会場でもイベントがあるようです。大丈夫でしょうか?

会場の担当者に、同じ時間帯の隣室の催しと、ワイヤレスマイクの使用予定を確認しておきましょう。当日は、できるだけ本番と同じ時間帯にスキャンして空いているチャンネルを選び、予備の有線マイクも用意します。

Q. 特定ラジオマイク(A帯)を使ったほうがよいのはどんなときですか?

総務省の資料では、放送番組の収録、舞台、コンサートホール、大規模イベント会場などが主な用途とされています。免許と運用調整が必要になるため、催しの規模や内容をお知らせのうえ、ご相談ください。

Q. 2.4GHz帯のマイクなら混信の心配はありませんか?

B帯とは別の帯域なので、B帯のマイクとは併用できます。ただし、無線LANやBluetooth機器と同じ帯域のため、会場の電波の状況によっては影響を受けることがあります。本番と同じ状況でテストしておいてください。

参考にした情報
  • 7年連続いといがわキャリアフェスティバルの音響・映像・会場設営
  • 国家資格二等無人航空機操縦士(夜間・目視外の限定解除)
  • 電気工事士イベントの仮設電源も自社で施工
  • 自治体の案件新潟県内の入札・プロポーザルに参加
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