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プロポーザル提案書のコツ|評価基準から逆算するコンセプトの作り方

この記事は約9分で読めます

提案書は、審査委員が評価基準に沿って採点する、いわば「答案」です。どれだけ良いアイデアでも、評価基準とずれていれば点数につながりません。評価基準をよく読めば、提案書で何を厚く書くべきかが見えてきます。自治体のプロポーザル(企画提案方式)は、価格だけでなく提案の内容で事業者を選ぶ方式だからです。

ここでは、自治体が公開している3つの評価基準を例に、審査項目と配点の読み方、仕様書の目的を言い換えてコンセプトを一文で示す方法、根拠・実施方法・体制・見積もりをコンセプトとつなげて書くコツ、プレゼン審査の前に確認しておきたいことをまとめました。プロポーザルと入札の違いは「プロポーザル方式と一般競争入札の違いとは」、参加の基本的な流れは「自治体の映像制作案件、入札参加の基本フロー」で紹介しています。

評価基準を読み解く

公開されている3つの評価基準

実際に公開されている動画関連のプロポーザルの評価基準です。

業務主な審査項目と配点合計
長岡市 摂田屋・宮内エリア観光プロモーション動画制作業務委託会社概要・過去の実績10/本業務への取組体制10/企画、構成30/地域資源の捉え方10/業務スケジュール10/費用見積5/その他580点
仙台市 令和8年度職員採用PR動画制作業務委託業務理解15/ターゲット層への訴求力15/仙台の魅力発信20/仙台市役所で働く魅力発信20/実施計画・実施体制・業務実績15/独自提案10/事業費の見積5100点
山形県 県立高等学校PRコンテンツ企画・制作業務委託会社概要・受託実績・実施体制など15/業務方針10/県立高校紹介動画30/ポータルサイトの周知25/業務管理10/その他10100点

3つとも、企画の中身に関わる項目に最も多くの点数が配られています。見積もりの配点は、長岡市と仙台市ではどちらも5点でした。

配点の大きい項目から厚く書く

提案書のページ配分は、配点に合わせるのが基本です。長岡市の例なら「企画、構成」が80点中30点を占めるので、コンセプトや構成、ストーリーの説明にいちばん多くのページを使います。

「着眼点」の言葉を、提案書の見出しにする

評価基準には、配点のほかに「着眼点」や「審査の視点」が書かれていることがあります。長岡市の「企画、構成」の着眼点は、次の4つでした(要約)。

  • 全体コンセプトが明確で、摂田屋・宮内エリア観光ビジョンの方向性に合っているか
  • 構成が詰め込みすぎず、地域資源とその魅力を正しく、分かりやすく伝えているか
  • ストーリーが見る人にワクワク感を与え、ターゲットの好みに合い、来訪意欲の向上が期待できるか
  • 映像手法が適切で見やすく、不快感を与えないか

この4つに、それぞれ答える見出しを提案書に用意しておくと、審査委員は「どこに答えが書いてあるか」をすぐに見つけられます。

最低点や失格のルールも確認する

評価基準には、点数以外のルールが書かれていることもあります。仙台市では、審査委員それぞれの得点が40点以上という「最低基準」を満たさない提案者は、受託候補者として特定されません。山形県では、最優秀の提案でも、審査委員全員の評価点数の合計が評価項目の最高得点の合計の6割に満たない場合は、決定を見送る場合があるとしています。長岡市では、見積金額が提案上限額を超えると失格です。

仕様書の目的を「課題」に言い換える

評価基準を読んだら、次は仕様書の「目的」を読み込みます。目的の文章をそのまま提案書に写すだけでは、「業務を理解しているか」が伝わりにくいためです。

おすすめは、目的を「課題」「ターゲット」「見た後の変化」の3つに分けて言い換えることです。長岡市の仕様書では、目的として、エリアの魅力を発信する観光プロモーション動画を制作し、年間を通じた(特に冬期)来街者の増加(特に県外)と経済波及効果の向上につなげることが書かれていました。評価基準の「地域資源の捉え方」でも、「ターゲット」「冬期間」の誘客に訴求するかが問われています。

これを分けると、たとえば次のように整理できます(考え方の例です)。

分けて考えること仕様書・評価基準の言葉提案書で示すこと
課題冬期・県外からの来街者を増やしたい冬に訪れる理由がまだ伝わっていない、という課題の見立て
ターゲット県外の人、冬期間の誘客どんな人に、どの媒体で届けるか
見た後の変化来街者の増加、経済波及効果動画を見た人に取ってほしい行動(訪問、滞在、購入など)

課題の見立てが仕様書とずれていなければ、ここから先のコンセプト・構成・広告の提案が一本の線でつながります。

コンセプトを一文で示し、根拠を添える

仙台市はコンセプトとキャッチコピーを必須に

仙台市の職員採用PR動画の実施要領では、企画提案書に「動画のコンセプト・キャッチコピー」「動画の構成が分かる絵コンテ」「本業務の実施体制、実施責任者、本業務全体のスケジュール」を必ず含めるよう求めていました。コンセプトは、提案の中心として最初に見られる部分です。

一文にまとめる型

コンセプトは、「(誰)に、(何)を通して、(どう感じて/どう動いて)もらう動画」という形にすると、一文にまとめやすくなります。たとえば観光動画なら、次のような形です(架空の例です)。

県外の20〜30代に、雪の季節にしか出会えない町の音と湯気を通して、「冬に行く理由」を手渡す動画

書いたコンセプトは、次の点で見直します。

  • 一文で言えるか:説明に何行もかかる場合は、要素を絞ります。
  • 目的とつながっているか:前の章で整理した課題とターゲットに答えているかを確かめます。
  • その地域でしか言えないか:地名を入れ替えても成り立つ文は、まだ一般的すぎます。
  • 構成・撮影・音楽まで貫けるか:撮影場所や音楽を選ぶときの判断の基準になるかを確かめます。

コンセプトが決まると、「この場面は入れる/入れない」の判断がぶれなくなり、提案書全体に一貫性が出ます。キャッチコピーは、このコンセプトを視聴者に向けた言葉に言い換えたもの、と考えると整理しやすくなります。

根拠を添える:計画・データ・地域の特徴

コンセプトに説得力を持たせるのが、根拠です。

  • 自治体の計画や方針:長岡市の着眼点のように、地域の計画(観光ビジョン)の方向性に合っているかを問う例があります。関連する計画や方針を読み、提案とのつながりを示します。
  • 公開されているデータ:観光の統計や人口の推移など、自治体や国が公開している数字を使う場合は、出典を明記します。
  • 現地で見つけた地域の特徴:下見や取材で見つけた、その地域ならではの風景や人の営みは、コンセプトの「その地域でしか言えない」部分を支えます。
  • 類似業務の実績:長岡市の評価基準では、類似の実績から円滑かつ主体的に業務を実施できるかも見られていました。実績は、提案と関係の深いものから順に並べます。

実施方法・体制・見積もりをそろえる

コンセプトが良くても、実施方法や見積もりとつながっていなければ、「本当にできるのか」という疑問が残ります。評価基準の視点と、書き方のコツを表にまとめました。

項目評価基準で見られている点(例)書き方のコツ
実施方法映像表現、編集手法、演出等において効果的な工夫が見られるか/提案内容から完成イメージを具体的に想起できるか(山形県)絵コンテや撮影場所の候補、演出の具体例で完成形を見せる
スケジュール市に確認を取りながら、効率的に期間内に業務を遂行できる工程か(長岡市)仕様書にある確認の回数(長岡市は完成前に2回以上)を工程表に入れる
体制業務推進体制が明確で任せられるか、主担当者の経歴や実績等から質が高いか(長岡市)役割ごとに担当者と実績を示し、窓口を一人に決める
見積もり見積金額は適切か(長岡市)/業務内容項目ごとの内訳(仙台市)提案書に書いた作業がすべて内訳にあり、上限額以内に収まっているかを確かめる
効果測定広告に関するKPI(目標値)の提案が効果的でかつ妥当性があるか(山形県)目標値と、その測り方をセットで書く

特に気をつけたいのが、提案と見積もりのずれです。提案書でドローン空撮や縦型の短尺版を提案したなら、見積書の内訳にもその項目が必要です。提案書・工程表・見積書を並べて、同じ作業が同じ名前で書かれているかを最後に確認しましょう。

プレゼン審査の準備

今回の3つの例では、いずれも提案書に加えてプレゼンテーション(ヒアリング)でも審査されます。条件は募集要領ごとに違うため、まずは時間と人数、使える資料を確認します。

項目長岡市(観光プロモーション動画)仙台市(職員採用PR動画)
出席できる人数2人以内3名以下
時間準備・片付け各5分、プレゼン15分、質疑応答10分プレゼン20分以内、質疑応答10分以内
使える資料評価要領には記載なし企画提案書のみ(変更・追加は不可)。動画は使用可

準備しておきたいことは次のとおりです。

  • 冒頭でコンセプトを一文で伝える:最初の1分で、何を提案するのかが伝わるようにします。
  • 時間配分を配点に合わせる:配点の大きい項目に、説明の時間も多く使います。
  • 質疑を想定しておく:体制、スケジュール、権利の扱い、予算内に収めるための優先順位などは、聞かれたときにすぐ答えられるようにします。
  • 時間を計って練習する:長岡市の評価基準では、プレゼンテーションが要領よく聞き取りやすいか、熱意が感じられるかも見られていました。時間内に要点を伝えられるよう、本番と同じ時間で練習します。

よくある質問

Q. 見積額は安いほうが有利ですか?

価格だけで決まるわけではありません。今回紹介した長岡市と仙台市の例では、見積もりの配点は5点でした。ただ、長岡市のように提案上限額を超えると失格になる例もあります。提案内容に見合った、内訳の分かる見積もりを出しましょう。

Q. 実績が少なくても参加できますか?

参加資格は募集要領ごとに決められているので、まずは要件を確認してください。評価の面では、実績は審査項目の一部です。長岡市の例では会社概要・過去の実績が80点中10点で、企画、構成が30点でした。実績が少ない場合も、企画の中身で評価される余地があります。

Q. コンセプトとキャッチコピーは同じものですか?

役割が違います。コンセプトは、提案全体の方向性を示す「判断の基準」で、キャッチコピーはそれを視聴者に向けて短く言い換えた言葉です。仙台市の例のように両方を求められることもあるので、コンセプトを先に固めてから、キャッチコピーを考えます。

アイフィルムと入札・プロポーザル

アイフィルムは新潟県糸魚川市と新潟市を拠点に、映像制作、ライブ配信、イベント音響などを手がけています。新潟県内の自治体の映像制作・イベント・音響などの案件に入札やプロポーザルで参加していて、糸魚川市のPR CMなどの制作実績もあります。仕様書の読み解き方や参加の進め方など、基本的なところからご相談ください。

市町村ごとに公開されている入札情報をまとめて確認できる「新潟入札ウォッチャー」も開発・運営しています。入札情報の探し方は「新潟県の入札情報はどこで探す?」、発注者側の仕様書と予算の考え方は「動画制作の仕様書の書き方と予算の考え方」もあわせてご覧ください。公開中の案件の仕様書を前に迷ったときは、お問い合わせからどうぞ。

参考にした情報
  • 7年連続いといがわキャリアフェスティバルの音響・映像・会場設営
  • 国家資格二等無人航空機操縦士(夜間・目視外の限定解除)
  • 電気工事士イベントの仮設電源も自社で施工
  • 自治体の案件新潟県内の入札・プロポーザルに参加
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