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自治体PR動画の作り方|幅広い世代に伝わる工夫と字幕・色のアクセシビリティ

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字幕を入れるか、文字をどのくらいの大きさにするか。自治体のPR動画をつくるとき、迷いやすいところです。

自治体のPR動画は、企業の宣伝動画と比べて「見る人の幅」がとても広いのが特徴です。10代の学生から80代の高齢の方まで、市内に住む方も県外の方も、日本語に慣れていない外国人の住民も、同じ動画を見る可能性があります。映像がきれいでも、文字が小さくて読めなかったり、言葉が難しかったりすると、届けたい人に内容が伝わりません。

「伝わりやすさ」は誰に届けるかで決まる

「伝わりやすい動画」の中身は、目的によって変わります。観光PRなら「行ってみたい」と感じてもらうこと、行政手続きの案内なら「手順を間違えずにできる」ことが、何より求められます。まずは、動画の目的と見てほしい人を一つに絞るところから始めます。

目的主に見てほしい人伝わりやすくする工夫見た後にしてほしいこと
移住・定住県外に住む子育て世代や若い世代暮らしの一日を具体的に見せる。住まい・仕事・子育ての情報を一つずつ移住相談の窓口や専用サイトを開く
観光県外・海外の旅行者景色や食を短い時間で印象的に。言葉がわからなくても伝わる映像旅行の計画を立てる、SNSで共有する
子育て支援市内の子育て中の家族、これから親になる方制度の名前より「何がしてもらえるか」を先に。相談先をはっきり示す窓口に相談する、申請する
防災すべての住民(高齢の方を含む)結論(何をすればよいか)を最初に。短く、繰り返し見られる長さ避難場所を確認する、備えをする
行政手続き手続きが必要な住民手順を順番どおりに。画面の文字と話す内容をそろえる迷わずに手続きを済ませる

目的が複数あるときは、目的ごとに短い動画に分ける方が伝わりやすくなります(長さの決め方は「ショート動画と長尺動画の使い分け」で解説しています)。

幅広い年代に伝わる見せ方と話し方

文字は「大きく、少なく、長めに」

画面の文字(テロップ)は、スマートフォンの小さな画面でも、庁舎のモニターを少し離れた場所から見ても読める大きさにします。文字を大きくすると一度に載せられる量は減るので、1画面に載せる情報は一つにしぼり、読み終わるまで十分な時間表示します。電話番号や日付は特に長めに映します。

字幕は「音を出せない人」と「聞こえにくい人」の両方のために

動画は、音を出せない電車の中や職場で見られることもあれば、耳が聞こえにくい方が見ることもあります。ナレーションやインタビューの内容を字幕で表示しておくと、どちらの場合でも内容が伝わります。ナレーションと字幕の言葉をそろえておくと、耳と目の両方から同じ情報が入り、理解しやすくなります。

話す速さと言葉は「やさしい日本語」を参考に

出入国在留管理庁と文化庁がまとめた「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」では、話し言葉のポイントとして、伝えたい情報を整理すること、短く区切って文の最後まで言い切ること、難しい言葉や言い回しを使わないことなどが挙げられています。言い換えの例として「納税」を「税金を払う」とする例も紹介されています。

外国人の住民向けにまとめられたものですが、ナレーションの原稿づくりにも役立つ考え方です。一文を短くし、ゆっくり、はっきり読むと、高齢の方や子どもにも聞き取りやすくなります。外国人の住民や観光客に向けては、やさしい日本語の字幕や、必要に応じて外国語の字幕・ナレーションも検討します。

専門用語はその場で言い換える

行政の文書でよく使う言葉は、住民にとってはなじみがないことがあります。「申請」「交付」「給付」などの言葉を使うときは、「申し込む」「受け取る」のように、その場で一言の言い換えを添えます。制度の正式名称は字幕で示し、ナレーションでは「〇〇のための補助金」のように中身がわかる言い方にする方法もあります。

アクセシビリティ:ガイドラインで確認しておきたいこと

障害のある方や高齢の方を含め、誰もが情報を得られるようにすることを「情報アクセシビリティ」といいます。PR動画を自治体のホームページやYouTubeで公開する場合は、ウェブのアクセシビリティの考え方がそのまま関係します。

総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」は、国や地方公共団体などの公的機関がウェブアクセシビリティに取り組むための手引きです。JIS X 8341-3:2016(ウェブのアクセシビリティの日本産業規格)に基づく取り組みの手順を解説していて、ホームページを適合レベルAAに準拠させることを求めています。同じガイドラインには、国の障害者基本計画(第5次)にある「動画への字幕や音声解説の付与など、最新のウェブアクセシビリティ規格を踏まえ、必要な対応を行う」という一文も紹介されています。

動画づくりに関わる主な項目を、デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」の説明とあわせて表にしました。

項目(JIS X 8341-3の達成基準)レベルガイドブックでの説明動画でできること
1.2.2 キャプション(収録済)A会話の内容や重要な効果音などが伝わるキャプション(字幕)を提供するナレーション・会話・大事な効果音を字幕にする
1.2.5 音声解説(収録済)AA登場人物の動作や表情、場面の移り変わりなど視覚的な情報を音声で伝える映像だけで見せている情報を、ナレーションでも伝える
1.4.1 色の使用A色の違いだけで情報を伝えてはいけない色に加えて、文字・記号・形でも区別する
1.4.3 コントラスト(最低限)AA文字色と背景のコントラスト比は4.5:1以上(大きいテキストは3:1以上)テロップに縁取りや帯を付け、背景と見分けやすくする
2.3.1 3回の閃光、又は閾値以下A1秒に3回を超える点滅をするコンテンツを作ってはいけない光の点滅や激しい切り替えの演出は控えめにする

※達成基準の名称とレベルは、仙台市が公開している「達成基準チェックリスト」の表記によります。

企画の段階で「映像に映っている大事な情報は、ナレーションでも言う」と決めておくと、音声解説の考え方を本編の中で自然に取り入れられます。たとえば「地図の赤い場所が避難所です」より「〇〇小学校の体育館が避難所です」と場所の名前を言う方が、色の見え方や視力に関係なく伝わります。

自動字幕は「確認して直す」が前提

YouTubeには、音声から自動で字幕を作る機能があり、日本語にも対応しています。ただし、YouTubeのヘルプでは、自動字幕は品質にばらつきが出る可能性があるとして、内容を確認し、正しく文字起こしされていない部分を編集するよう案内しています。地名や人名、制度の名前は特に誤りが出やすいので、公開前に必ず目で確認します。

使う場所で作り分ける

同じ内容の動画でも、見られる場所によって「音が出せるか」「どのくらいの長さなら見てもらえるか」が変わります。

使う場所音長さの目安作り方
自治体のWebサイト・YouTube出せることが多い内容に合わせて(説明なら数分も可)字幕付きで公開。チャプターや説明文で探しやすく
SNS(Instagram・X・TikTokなど)音なしで見られることも多い短く(数十秒程度)最初の数秒で内容がわかる構成。縦型版も用意
庁舎のサイネージ・窓口のモニター出せないことが多い短く、繰り返し再生字幕と文字だけで伝わるように。途中から見ても伝わる構成
イベント・説明会での上映出せる会の進行に合わせて大きな画面と会場の音響に合わせて文字の大きさや音量を調整

テレビや紙の広報誌との組み合わせも考えます。総務省情報通信政策研究所の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」では、YouTubeの利用率(動画共有・配信サービス等の利用率)は60代で76.0%、70代で47.0%でした。情報源としての重要度では、10代から40代はインターネット、50代から70代はテレビが最も高くなっています。高齢の方にも届けたい情報は、広報誌や庁舎・公民館での上映など、複数の場所で目に触れるようにします。

縦型の動画を作るときの画面設計は「縦型動画の作り方」にまとめています。

仕様書に条件を書き、効果を測る

「伝わりやすさ」の条件は仕様書に書いておく

自治体の動画制作は、入札やプロポーザル、見積合わせなどの手続きを経て発注され、制作会社は仕様書に沿って動画を作ります。伝わりやすさに関わる条件は、仕様書の段階で書いておくと確実です(発注の方式は「プロポーザル方式と一般競争入札の違い」、参加の流れは「入札参加の基本フロー」で解説しています)。

新潟市の「動画を活用した新潟市ラーメンプロモーション業務委託仕様書」には、次のような条件が書かれていました。

  • ターゲットは「首都圏を中心とする20〜30代の県外在住者」
  • ナレーションを付ける場合は、字幕なし版と字幕付き(日本語)版を制作し、選択できるようにする
  • インバウンド向けにも活用できるよう、言語がわからなくても内容が理解できるように配慮する
  • 完成前に、委託者と内容確認を2回以上行う
  • 事業完了後、WebサイトやSNSでの動画再生回数・分析結果などをまとめた報告書を納品する

ターゲット、字幕、言葉に頼らない工夫、確認の回数、効果の報告まで書かれていると、制作会社は提案や見積もりを具体的に出しやすくなります。あわせて、使う場所ごとの画面の向きや長さ、多言語の必要性も書いておくと、作り分けの計画が立てやすくなります。

効果の測り方

「届けたい人に届いたか」を確かめると、次の動画づくりに生かせます。見る数字は、目的ごとに決めておきます。

目的見る数字の例確かめ方
認知を広げる(観光・シティプロモーション)視聴回数、SNSでの共有数YouTubeアナリティクス、各SNSの分析画面
内容を最後まで見てもらう(制度の案内)平均視聴時間、視聴者維持率YouTubeアナリティクス
行動につなげる(移住相談・申請)動画公開後の相談件数・申請件数、専用ページの閲覧数窓口の記録、Webサイトのアクセス解析
理解されたか(防災・手続き)「内容がわかった」と答えた人の割合説明会やイベントでのアンケート

YouTubeのヘルプでは、視聴者維持率に関するレポートで、動画の各場面が視聴者の注目をどの程度集めていたかを確認できると説明しています。たとえば「イントロ」は、最初の30秒が経過した後も引き続き動画を見た視聴者の割合です。冒頭で多くの人が離れているなら、最初に結論を見せる構成に変える、といった改善につなげられます。視聴回数とあわせて、窓口での相談件数やアンケートなど動画の外の数字も見ると、「伝わったか」までつかみやすくなります。

よくある質問

Q. 字幕は、すべての動画に付けたほうがよいですか?

ナレーションや会話がある動画には、付けておいたほうが確実です。サイネージやSNSのように音なしで見られる場所でも内容が伝わり、耳が聞こえにくい方にも届きます。デジタル庁のガイドブックでも、会話の内容や重要な効果音が伝わる字幕の提供が挙げられています。

Q. 1本の動画で、若い世代と高齢の方の両方に届けられますか?

見る場所や好まれる長さが違うため、本編とSNS用の短い版など、複数の版を作る方法が効率的です。1回の撮影から長さや向きの違う版を作れば、撮影の費用を抑えながら、それぞれの世代に合った形で届けられます。

Q. 職員や住民の方に出演してもらうときの注意点は?

出演する方には、どこで・いつまで公開するかを説明し、同意をいただいておきます。新潟市の仕様書でも、出演者を起用する場合の肖像権などの権利処理は受託者が行うこととされていました。撮影の前に、誰が同意を取るかを発注側と制作側で決めておきます。

アイフィルムでの自治体PR動画制作

アイフィルムは新潟県糸魚川市と新潟市を拠点に、自治体や企業のPR動画を企画・構成から撮影、編集、音楽、ナレーションまで一貫して制作しています。自治体関連では、次のような動画を制作してきました。

  • 新潟県糸魚川市 様「第5回新潟ふるさとCM大賞『ええねか、いといがわ』」
  • 新潟県糸魚川市 様「新潟県CM大賞」(映像制作・音楽制作)
  • 新潟県糸魚川市 様「美山プロジェクト紹介動画」
  • 新潟県糸魚川市 様「フォッサマグナミュージアムイベント告知動画」
  • 新潟県糸魚川市観光協会 様「漁師密着動画」

SNS用の縦型版や長さの違う版、字幕入りの版など、使う場所に合わせた派生版の制作にも対応しています。ナレーションでは、原稿が固まっていない段階から、専門用語の言い換えや読みやすい文章へのリライトもお手伝いします。音声解説や多言語対応など、アクセシビリティに関する細かなご要望もご相談ください。

動画は制作実績で、サービスの詳細はプロモーション動画のページでご覧いただけます。仕様書に「伝わりやすさ」の条件をどう書くかは、動画制作の仕様書の書き方と予算の考え方で詳しく紹介しています。仕様書づくりの前のご相談はお問い合わせへ。

参考にした情報
  • 7年連続いといがわキャリアフェスティバルの音響・映像・会場設営
  • 国家資格二等無人航空機操縦士(夜間・目視外の限定解除)
  • 電気工事士イベントの仮設電源も自社で施工
  • 自治体の案件新潟県内の入札・プロポーザルに参加
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