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官公庁・自治体案件と民間案件の進め方の違い|契約・検査・支払い・著作権まで

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同じ「動画を1本作る」仕事なのに、自治体や官公庁からの依頼は、なぜ企業からの依頼と進め方がこれほど違うのでしょうか。理由は、自治体の仕事が税金で行われることにあります。相手の選び方から、契約・検査・支払い・年度の区切りまで、法律や規則で手順が決まっているのです。

自治体と取引したい事業者の方、民間の制作会社に発注する自治体の担当者の方に向けて、官公庁案件と民間案件の進行の違いをまとめました。入札やプロポーザルへの参加の流れは「自治体の映像制作案件、入札参加の基本フロー」で紹介しているので、ここでは「受注したあと」の仕様書と書類の流れ、支払い(支払遅延防止法)と年度の区切り、複数部署の確認、著作権・二次利用の扱いを中心に書いています。

発注までの流れと、違いの全体像

民間の案件では、付き合いのある会社に直接依頼したり(指名)、数社から見積もりを取って比べたり(相見積もり)して、発注先を比較的自由に決められます。自治体の契約は地方自治法で選び方が決まっていて、一般競争入札が原則、プロポーザルや見積合わせ(随意契約)などは条件を満たしたときに使う方法です。方式ごとの違いは「プロポーザル方式と一般競争入札の違い」で詳しく比較しています。

受注までと受注後の違いを一覧にすると、次のようになります。

項目官公庁・自治体の案件民間の案件
発注先の選び方入札・プロポーザル・見積合わせなど、法令と規則に沿った手続き指名・相見積もりなど、会社ごとに自由
仕事の中身を決めるもの公告や募集時に示された仕様書が基準(プロポーザルでは選定後に仕様を協議)打ち合わせで決め、途中で変わることもある
書類自治体指定の書式が多く、完了の報告と検査がある自社の書式で進めることが多い
支払い検査合格後の請求から、法律で定めた期間内契約で決める(法律の上限がある取引もある)
期間の区切り会計年度(4月〜翌3月)に縛られる会社の事業年度や公開日に合わせて柔軟
確認の流れ担当課のほか、複数の部署や決裁を経ることがある担当者と決裁者の確認で進むことが多い
著作権仕様書で発注者への帰属を定める例がある帰属や利用範囲を個別に契約で決める

自治体の案件は、公告から契約までに時間がかかることがあります。案件情報の探し方は「新潟県の入札情報はどこで探す?」にまとめています。

仕様書と契約書類、検査までの流れ

仕様書は「検査のものさし」になる

自治体の案件で、民間と最も違うのが仕様書の重みです。地方自治法第234条の2では、自治体が契約を結んだときは、職員が契約の適正な履行を確保するために必要な監督や検査をしなければならないと定めています。地方自治法施行令第167条の15では、その検査は「契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類」に基づいて行うとしています。

仕様書に書かれたことが、そのまま「できあがったかどうか」を判断する基準になります。たとえば新潟市の「動画を活用した新潟市ラーメンプロモーション業務委託仕様書」には、動画の長さや本数、横型・縦型の版、字幕付き版と字幕なし版、BGMはオリジナルかフリー音源を使うこと、完成前に内容確認を2回以上行うこと、事業完了後に再生回数などの報告書を納品することなどが書かれていました。

民間の案件では、打ち合わせを重ねながら内容を決め、途中で方向性が変わることもあります。自治体の案件では、仕様書にない作業を後から加えるのは簡単ではないため、仕様書で分からない点は、入札やプロポーザルの質問期間に確認しておきます。

見積書から支払いまでの書類

書類の流れは、新潟県が入札の際に公開していた庁舎清掃業務の委託契約書(案)を例にするとイメージしやすくなります。業務の種類は違っても、業務委託の基本的な流れは共通する部分が多いためです。

段階官公庁・自治体の案件(新潟県の契約書案の例)民間の案件
見積書自治体指定の書式で出すことが多い自社の書式が多い
契約契約書を取り交わす。再委託(外注)は事前に書面の承認が必要契約書や発注書・発注メールなど
完了の報告業務の成果に関する報告書を遅滞なく提出納品の連絡
検査報告を受けた日から10日以内に検査。不合格なら指定期間内に補正先方の確認(検収)
請求・支払い検査合格後に請求書を出し、受理から30日以内に支払い契約で決めた締め日・支払日

再委託に書面の承認が必要という点は、ナレーターや撮影スタッフなど外部の協力者と一緒に作る映像制作では特に大事です。誰にどの作業を頼むかを、契約の前に整理しておきます。

支払いのタイミングと年度の区切り

支払いの期限は法律で決まっている

自治体の支払いの時期は、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」(支払遅延防止法)が目安になります。この法律は国の契約についてのものですが、第14条により地方公共団体の契約にも準用されます。

項目工事工事以外(業務委託など)
検査の時期(第5条)給付が終わった通知を受けた日から14日以内10日以内
支払いの時期(第6条)検査が終わった後、適法な支払請求を受けた日から40日以内30日以内

支払いが約束の時期より遅れたときは遅延利息が付き、その率は令和8年4月1日から年2.5%から年3.0%に改められました。前の章で紹介した新潟県の契約書案の「10日以内に検査」「30日以内に支払い」も、この期間と同じです。

民間の取引では、支払いの時期は契約で決めます。ただし、2026年1月1日に下請法が改正されて「取適法」となり、資本金や従業員数などの条件に当てはまる取引では、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定めることや、手形払いの禁止などが決められています。動画などの情報成果物の作成委託も対象に含まれます。

自治体の案件では、支払いは検査に合格して請求書を出したあとになるのが基本です。撮影から納品まで数か月かかる案件では、その間の人件費や外注費を立て替える期間があることを計画に入れておきます。

年度の区切りと予算

自治体の会計年度は、毎年4月1日に始まり翌年3月31日に終わります。地方自治法には「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない」という決まり(会計年度独立の原則)があり、その年度の予算はその年度のうちに使うのが原則です。

そのため、自治体の業務委託は「契約日から3月31日まで」のように年度内で期間が区切られることが多く、新潟市のラーメンプロモーションの仕様書でも、委託期間は契約日から令和8年3月31日までとされていました。年度内に終わらない見込みがあるものを翌年度に繰り越す「繰越明許費」や、将来にわたる支出をあらかじめ定めておく「債務負担行為」などの例外もありますが、これらは予算の中であらかじめ決めておく手続きです。

制作する側にとっては、3月末の納期に向けて年度後半に仕事が集中しやすく、修正の時間を逆算して進めます。民間企業でも3月決算の会社では年度末の納品が求められることがあり、その場合の進め方は「年度末の予算を活かす動画制作」でも紹介しています。

修正・確認のプロセス

自治体の動画は、担当課の確認だけでなく、内容によっては関係する部署の確認や上司の決裁などを経てから公開されることがあります。新潟県の職員募集パンフレットの制作の仕様書では、受託者は業務の内容について県と十分に打合せを行い、進捗状況を県に報告して承諾または指示を受けることとされていました。

確認に関わる人が多いと、1回の確認に時間がかかったり、後から別の部署の意見で修正が入ったりします。最初の打ち合わせで、次のことを決めておきます。

  • 確認する人と順番:担当課の中だけで決められることと、他の部署や決裁が必要なことを分けておく
  • 確認の回数と締め切り:構成案・初稿・最終稿など、どの段階で何日かけて確認するか
  • 意見のまとめ役:複数の部署から出た意見を、担当者が一つにまとめてから制作側に伝える

民間の案件でも同じ考え方は役立ちますが、自治体の案件では年度末の納期が動かしにくいため、確認の日程を先に押さえておく効果がより大きくなります。構成の段階で確認しておくと、撮影や編集のあとでの大きなやり直しを防げます。

著作権・二次利用の扱い

動画の著作権は、契約で発注者に譲渡することができます。文化庁の「著作権テキスト」では、著作権(財産権)は譲渡や相続が可能である一方、著作者人格権は著作者に専属する権利のため譲渡できないと説明されています。著作権法第61条第2項では、譲渡の契約で翻案権など(第27条・第28条の権利)が「譲渡の目的として特掲されていない」ときは、譲渡した側に残ったものと推定されます。

自治体の仕様書では、この点まで書かれている例があります。新潟市のラーメンプロモーションの仕様書では、成果品の著作権(著作権法第27条・第28条に規定する権利を含む)が委託者に無償・無条件で帰属することや、委託者が認めた第三者が観光PRのために二次利用する場合があることが定められていました。あわせて、出演者の肖像権などの権利処理や、第三者が権利を持つ素材を使う場合の手続きは受託者が行うこととされています。

民間の案件では、著作権をどちらに置くか、使える媒体・期間・地域をどうするかを、案件ごとに契約で決めます。自治体の案件では、ほかの部署や関係団体が後から使うことも多いため、BGMや写真素材、出演者の同意の範囲が、仕様書で求められる二次利用の範囲に合っているかを、制作の前に確かめておきます。

よくある質問

Q. 自治体の案件でも、着手金や前払いはありますか?

自治体の業務委託では、業務が終わって検査に合格したあとに請求し、支払いを受ける流れが基本です。新潟県の契約書案でも、検査合格後に支払請求書を提出し、受理から30日以内に支払う形になっていました。支払いの条件は契約書に書かれているので、契約前に確認しておきます。

Q. 年度をまたぐ動画制作は依頼できますか?

自治体の予算は会計年度ごとに組まれるため、年度内に終わる計画が基本です。複数年度にわたる場合は、債務負担行為など、予算上の手続きがあらかじめ必要になります。どのような形で発注できるかは、自治体の財政や契約の担当部署にご確認ください。

Q. 民間の制作会社に、自治体の書式で見積書を出してもらえますか?

制作会社によって異なりますが、アイフィルムは学校や自治体の書式での見積書の作成に対応しています。入札や見積合わせが必要な案件も、書式や提出方法とあわせてご相談ください。

アイフィルムでの官公庁・民間案件の対応

アイフィルムは、新潟県内の自治体の映像制作・イベント・音響などの案件に、入札やプロポーザルで参加しています。新潟県糸魚川市様の「第5回新潟ふるさとCM大賞『ええねか、いといがわ』」や「美山プロジェクト紹介動画」などの制作実績があります。

学校や自治体の書式での見積書の作成、入札や見積合わせが必要な案件のご相談に対応しています。民間のお客様には、着手金と納品後の精算、月末締めなど、運用に合わせたお支払い方法をご相談いただけます。修正の回数と範囲、著作権や制作物の利用範囲(媒体・期間・地域)も、事前に取り決めてから進めます。

市町村ごとに公開されている入札情報をまとめて確認できる「新潟入札ウォッチャー」を開発・運営しています。自治体の案件に初めて取り組む事業者の方も、民間の制作会社への発注を検討している自治体の担当者の方も、進め方で迷うところがあればお問い合わせからご連絡ください。

参考にした情報
  • 7年連続いといがわキャリアフェスティバルの音響・映像・会場設営
  • 国家資格二等無人航空機操縦士(夜間・目視外の限定解除)
  • 電気工事士イベントの仮設電源も自社で施工
  • 自治体の案件新潟県内の入札・プロポーザルに参加
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