
テレビやラジオで流れる短いメロディーを聞いただけで、会社名や商品名が頭に浮かんだことはありませんか。社名にメロディーを付けた「サウンドロゴ」や、商品やお店のために作る「CMソング」は、耳から会社を覚えてもらうための道具です。
大企業だけのものと思われがちですが、地域の会社やお店でも、CM、Web動画、店内放送、展示会など、使える場面はたくさんあります。サウンドロゴとCMソングの違い、音で覚えてもらえる仕組み、作る前に決めておくこと、使い道と著作権・音の商標登録の考え方を、制作する側の目線でまとめました。
サウンドロゴとCMソングの違い
どちらも「音で覚えてもらう」ためのものですが、長さと役割が違います。
| サウンドロゴ | CMソング | |
|---|---|---|
| 長さ | ごく短い | アイフィルムでは15〜90秒で制作 |
| 中身 | 社名や商品名にメロディーや効果音、声を付けたもの | 歌詞とメロディーで、商品や会社の魅力を伝える歌 |
| 主な役割 | 会社名・商品名を一瞬で思い出してもらう | 商品の特徴やメッセージを、印象とともに伝える |
| 使い方 | 動画やCMの最初・最後に毎回同じ形で入れる | CMや店内放送などで、ひとまとまりの曲として流す |
音のブランディングについての研究をまとめた論文(Spence & Keller、2024年、学術誌『Psychology & Marketing』掲載)では、サウンドロゴを「短い音の並び、効果音、声などで構成され、聞いた人の頭にブランドを思い浮かばせるもの」と説明しています。一方、英語で「ジングル」と呼ばれる広告の歌は、耳に残る「フック」と呼ばれるフレーズを持ち、多くは広告のキャッチコピーを使って商品を宣伝するものとされています。
サウンドロゴは「名前を覚えてもらう」こと、CMソングは「中身や雰囲気を伝える」ことが得意です。両方を作り、CMソングの最後にサウンドロゴを入れる組み合わせも考えられます。

音で覚えてもらえる仕組み
音には、目で見なくても情報が届くという特長があります。画面を見ていないときや、別のことをしているときでも、聞き慣れたメロディーが流れれば、会社名が自然に頭に浮かびます。
前述のSpence & Kellerの論文では、調査会社イプソスの2020年の分析として、調べた「ブランドらしさを示す要素(ディスティンクティブ・ブランド・アセット)」のなかでサウンドロゴが最も効果的で、成果の高い広告に含まれている可能性が8.53倍高く、ブランドを思い浮かべてもらうことにつながっている、というデータが紹介されています。
ただし、覚えてもらうには条件があります。同じ論文が紹介している別の調査では、聞いた人がサウンドロゴと会社を結び付けられなかった場合、感じられる価値がかえって7.7%下がったとされ、「聞いてすぐにその会社だとわかること」が重要だと述べられています。音楽は繰り返し聞くことで好まれるようになるという研究にも触れています。著者自身も、音のブランディングは「科学であると同時にアートでもある」と結んでいます。
ここから言えるのは、次の2つです。
- 毎回同じ形で使い続ける:CMや動画のたびにメロディーや声を変えず、同じサウンドロゴを繰り返し使うことで、音と会社が結び付いていきます
- 会社のイメージに合った音にする:音から受ける印象が会社の印象とそろうように作ります。論文でも、音楽や音は感情的なつながりを生み、ブランドを思い出しやすくすると紹介されています
作るときに決めること
制作の前に、次のことを整理しておくと話が早くなります。
| 決めること | 考え方 |
|---|---|
| 会社・商品のイメージ | 安心感、楽しさ、先進的、親しみやすさなど、伝えたい印象を言葉にする |
| 使う場面 | テレビ・ラジオCM、Web動画、店内放送、展示会など。どこで誰が聞くか |
| 長さ | サウンドロゴは短く。CMソングは媒体の秒数(15秒・30秒など)に合わせる |
| 歌詞・ナレーション | メロディーで社名を歌うか、効果音だけにするか、声で社名を読むか |
| 予算と納期 | 生楽器で録音するか、使い始めたい時期はいつか |
サウンドロゴの種類
アイフィルムでは、サウンドロゴを次のような形で制作しています。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| メロディーロゴ | 歌のメロディーで、会社名や商品名、キャッチコピーなどを表現する |
| SEロゴ | シンセサイザーや生楽器などを使い、効果音だけで表現する |
| SEロゴ+ナレーションロゴ | SEロゴと同時に、またはその前後にナレーションで会社名や商品名を入れる |
| 声のみロゴ | ナレーターや声優を起用し、会社のイメージに合わせた声で表現する |
社名を覚えてもらうことが目的なら、社名を歌うメロディーロゴや、ナレーションを組み合わせる形がわかりやすい選択です。効果音だけのロゴは、映像のロゴアニメーションと組み合わせて使う方法もあります。
CMソングで考えること
CMソングは、テレビ・ラジオCMの秒数や映像の雰囲気に合わせて作ります。具体的なイメージが固まっていなくても大丈夫です。どんな人に、どんな気持ちになってほしいかをお聞きできれば、方向性をご提案できます。歌うシンガーも、事前にサンプルを聴いて選べます。
サウンドロゴ・CMソングの使い道
一度作った音は、CMのほかにも次のような場面で使えます。使う場面が多いほど、聞いてもらう回数も増えます。
| 使う場面 | 使い方の例 |
|---|---|
| テレビ・ラジオCM | CMの最後にサウンドロゴ、CM全体にCMソング |
| Web動画・SNS広告 | 動画の冒頭や最後にサウンドロゴを入れ、短い動画でも印象を残す |
| 店内放送 | お店の中でCMソングを流し、来店されたお客様に覚えてもらう |
| 電話の保留音 | 問い合わせのお客様にも会社の音を聞いてもらう |
| 展示会・イベント | 会場のオープニングやプレゼンテーションの切り替えで流す |
| 社内イベント | 株主総会、セミナー、社内研修などの前後に流し、社内の一体感を高める |
| アプリ・Webサービス | 起動音にして、使うたびに思い出してもらう |
展示会は多くの会社が並ぶ場所なので、耳なじみの良い音は覚えてもらうきっかけになります。ブースで音を出すときは、出展規定の音量のルールや周りのブースへの配慮も必要です。詳しくは展示会のループ動画の記事で紹介しています。
CMソングは、使う場面に合わせてアレンジや歌詞を変えられます。季節のキャンペーンや新商品に合わせて少しずつ変えながら、同じメロディーを使い続けることもできます。
権利の扱いと音の商標登録
制作した音楽の著作権
フリー音源は手軽ですが、利用規約の確認が必要で、同じ曲をほかの会社も使っている可能性があります。フリー音源を使うときの確認のしかたは動画BGMの基本ルールで紹介しています。オーダーメイドのサウンドロゴやCMソングなら、自社だけの音として使えます。
アイフィルムで制作したサウンドロゴ・CMソング・BGMは、基本的に著作権を譲渡しなくても自由にお使いいただけます。ただし、権利は弊社が持つ形になるため、ほかでの販売はご遠慮いただいています。事例として掲載させていただくことがあります。著作権の譲渡も、別途お見積りで対応できます。
音の商標登録という制度
音は、商標として登録することもできます。特許庁では、2015年(平成27年)4月1日から、音商標など「新しいタイプの商標」の出願受付を始めました。音商標は「音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標」とされ、例としてCMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音が挙げられています。2017年には、音楽的な要素だけでできた音商標について、初めて登録を認める判断がされました。
| 項目 | 特許庁の案内 |
|---|---|
| 出願の書き方 | 五線譜(音符、音部記号、テンポ、拍子記号、歌詞があれば歌詞)か文字、またはその組み合わせで音を特定する |
| 音の提出 | 音をMP3形式(5MB以下)で記録したCD-RまたはDVD-Rを提出する |
| 登録されにくい音 | 商品が通常発する音、単音、自然音を認識させる音、楽曲としてのみ認識される音などは、原則として識別力がないものとして登録されない |
商標権と著作権は別々の権利で、両方が並んで存在することを前提に調整されています。商標登録を考えている場合は、制作の段階で著作権の扱いもあわせてご相談ください。出願の手続きの詳細は、特許庁の案内をご確認ください。

よくある質問
Q. 具体的なイメージがなくても依頼できますか?
はい。会社や商品について伝えたいこと、使いたい場面をお聞きしたうえで、クリエイターが方向性をご提案します。サウンドロゴは、見積もり前のお打ち合わせからクリエイターが参加します。
Q. どんなジャンルの音楽でも作れますか?
近年は打ち込み音源の質が高くなっているため、基本的にどのジャンルでも基本の制作費用の中で対応できます。生楽器での録音をご希望の場合は、別途ご相談となります。
Q. CMソングの歌い手も探してもらえますか?
はい。シンガーを弊社でピックアップすることもできます。事前にサンプルをお送りし、できるだけご希望に沿う形で進めます。
Q. サウンドロゴと一緒にロゴアニメーションも作れますか?
はい。サウンドロゴと、ロゴが動く映像(モーションロゴ)をまとめて制作できます。
アイフィルムでの対応
アイフィルムには音楽大学出身のクリエイターが在籍しており、サウンドロゴを外注ではなく社内でオーダーメイド制作しています。CMソングは15〜90秒で、テレビ・ラジオ、Web映像、店内放送など、使う場面に合わせて制作します。企業のテーマソングや社歌、周年記念ソングなどのオリジナルソングにも対応しています。映像制作会社なので、CMや動画の制作とあわせて音を作ることもできます。
社名を声だけで読み上げる企業ロゴ音声は、ナレーション収録の料金の仕組みで料金を紹介しています。詳しくはサウンドロゴ制作、CMソング制作のページをご覧ください。曲のイメージがまだなくても、社名と使いたい場面をお問い合わせでお知らせいただければ、そこから一緒に固めていきます。
参考にした情報
- Sonic branding: A narrative review at the intersection of art and science(Spence & Keller, Psychology & Marketing, 2024)|Oxford University Research Archive
- 新しいタイプの商標の保護制度|特許庁
- 音楽的要素のみからなる音商標の初の登録について|特許庁
- 新しいタイプの商標の保護制度に関するQ&A|特許庁
- 新しいタイプの商標の出願の際の注意事項及び様式|特許庁
- 音商標の出願における音声ファイルのファイル形式等について|特許庁
- 著作権と商標権の権利調整─日本法と台湾法の比較─(村上画里、知財ぷりずむ 2013年11月)

