
新曲の音源ができあがり、リリース日も見えてきた。ミュージックビデオ(MV)も作りたい。けれど、どんな種類があるのか、何から準備すればいいのか、費用は何で決まるのかが見えず、依頼の手前で止まってしまう。そんな段階の方に向けて、制作する側の目線で書きました。
パフォーマンスからライブ映像まで、MVの5つの型
MVにはいくつかの型があります。1つの型だけで作ることもあれば、複数を組み合わせることもあります。
| 種類 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| パフォーマンス | アーティストが歌う・演奏する姿を中心に撮る | アーティスト本人の魅力やバンドの演奏を見せたい |
| ストーリー | 歌詞や曲の雰囲気に合わせて、ドラマのような物語を描く | 歌詞のメッセージや世界観をじっくり伝えたい |
| リリック | 歌詞の文字を画面に出し、動きやデザインで見せる | 歌詞を覚えてほしい、撮影の規模を抑えたい |
| アニメーション | イラストやCG、モーショングラフィックス(動く図形や文字)で表現する | 現実では撮れない世界観を描きたい、顔出しを控えたい |
| ライブ映像 | ライブやイベントでの演奏を撮影・編集する | 会場の熱気やライブの臨場感を伝えたい |
たとえば、サビはパフォーマンス、間奏はストーリーというように組み合わせると、アーティストの姿と世界観の両方を見せられます。リリックの要素は、ほかの型にも歌詞テロップとして加えられます。テロップの見せ方はテロップデザインのコツでも紹介しています。

楽曲の共有から公開までの6ステップ
MV制作は、一般的に次の6つのステップで進みます。
| ステップ | 主な内容 | 依頼する側が用意・判断すること |
|---|---|---|
| 1. 楽曲・コンセプトの共有 | 楽曲、歌詞、リリース日、公開する場所を共有する | 音源(仮ミックスでも可)、歌詞、伝えたいイメージ、参考にしたい映像 |
| 2. 企画・絵コンテ | 映像のストーリーや演出を考え、絵コンテ(場面ごとの設計図)にまとめる | 方向性の確認と、出演者・衣装などのイメージのすり合わせ |
| 3. ロケハン・キャスティング | 撮影場所の下見や許可の確認、出演者や衣装・小道具の手配 | 撮影場所の希望、出演者の調整 |
| 4. 撮影 | 照明を含めて楽曲に合った映像を撮る | 当日の立ち会い、出演者のスケジュール管理 |
| 5. 編集・カラー | 音楽に合わせて映像をつなぎ、色を整え、必要に応じてCGや歌詞テロップを入れる | 初稿の確認と修正の指示 |
| 6. 公開 | YouTubeなどへの公開、SNS用の短い動画の展開 | 公開日時、告知の方法 |
1〜2. 楽曲の共有と企画
最初に、楽曲のメッセージやアーティストの個性を共有します。完成した音源がまだなくても、仮のミックスがあれば企画を始められます。曲の長さや展開(Aメロ、サビ、間奏など)がわかると、どこで場面を切り替えるかを考えやすくなります。
3〜4. ロケハンと撮影
撮影場所で、楽曲の世界観は大きく変わります。屋外や公共の場所で撮る場合は、施設や土地の管理者への確認が必要になることがあります。パフォーマンスの撮影では、楽曲を流しながら歌や演奏に合わせて撮り、編集で口の動きと音をそろえます。ドローンでの空撮を入れる場合は、飛行の許可や承認が必要になることもあります。詳しくはドローン空撮の費用と許可の記事をご覧ください。
5〜6. 編集・カラーと公開
編集では、映像のリズムを音楽に合わせてつなぎます。カラーグレーディング(色の調整)で作品全体の色味をそろえると、映画のような質感や統一された世界観を出せます。本編のMVから縦型のショート動画を切り出して、TikTokやInstagram、YouTubeショートで展開する方法もあります。縦型動画の作り方は縦型動画の制作ポイントで紹介しています。
動画制作全体の進め方や、修正の回数など契約前に決めておきたいことは、動画制作の流れの記事もあわせてご覧ください。
MVの費用を左右する要素
MVの費用は、作品の内容で大きく変わります。アイフィルムのミュージックビデオ制作のページでも、制作費は尺や撮影日数、ロケーション、CG・VFXの有無などによって異なるとご案内しています。
| 要素 | 費用への影響 |
|---|---|
| 尺(曲の長さ) | 曲が長いほど、撮影するカットや編集の量が増える |
| 撮影日数 | 撮影日が増えると、スタッフや機材の費用が日数分かかる |
| ロケーション | 撮影場所の数、移動の距離、施設の利用料などが関わる |
| CG・VFX | 映像効果やアニメーションを加えるほど、制作の工程が増える |
| 出演者・美術 | 俳優やダンサーの起用、衣装・小道具・セットの用意 |
| 撮影の方法 | 照明の演出や、ドローン空撮などの特殊な撮影 |
| 展開する動画 | SNS用のショート版やティザー(予告)映像を追加するか |
費用を抑えたい場合は、撮影場所を1か所にまとめる、撮影を1日で終えられる構成にする、リリック映像やアニメーションを中心にする、といった方法が考えられます。逆に、こだわりたい部分(ロケーションや照明など)を先に決めておくと、そこに予算をかけた企画を立てやすくなります。
依頼前に準備しておくとよいもの
制作会社に相談する前に、次のものをそろえておくと話が早く進みます。
- 楽曲の音源と歌詞:仮のミックスでも構いません
- リリース日と公開する場所:YouTube、SNS、ライブの演出など
- 参考にしたい映像:好きなMVや、雰囲気が近い映像のURL
- 出演者:アーティスト本人だけか、俳優やダンサーも出るか
- 予算の目安:予算に合わせて、できることを提案してもらいやすくなります
MVは、新曲のプロモーションだけでなく、SNSでの拡散、ライブのステージ背景の映像、クラウドファンディングのティザー映像など、使い道はいくつもあります。使い道が決まっていると、映像の長さや画面の向きを決めやすくなります。
公開に向けて押さえておく3つのこと
YouTubeのプレミア公開を活用する
YouTubeには、新作の動画を、決まった日時にクリエイターと視聴者がリアルタイムで一緒に見る「プレミア公開」という機能があります。YouTubeのヘルプによると、主な仕組みは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開前 | 再生ページが公開前から表示され、URLを共有できる。視聴者はリマインダーを設定したり、コメントやチャットを書き込んだりできる |
| 通知 | リマインダーを設定した視聴者には、開始の約30分前と開始時に通知が届く |
| 開始時 | 設定した日時にカウントダウンが始まり、終わると一緒に視聴できる。チャットでリアルタイムに交流できる |
| 予告編 | 予告編をアップロードしておくと、開始前にその動画が再生される |
| 終了後 | 通常のアップロード動画としてチャンネルに残る |
| 対応していないもの | ショート動画、360°動画、VR180動画、1080pを超える動画 |
リリース日に合わせてプレミア公開を設定し、事前にSNSで再生ページのURLを告知すると、公開の瞬間にファンと盛り上がる場を作れます。4Kなど高い解像度で公開したい場合は、プレミア公開が1080pを超える動画に対応していない点に気をつけてください。
楽曲の権利を確認する
MVに使う楽曲には、作詞・作曲をした人の著作権があります。著作権情報センターの資料では、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家(歌手や演奏者)やレコード製作者(音源を録音・制作した人)などに認められた「著作隣接権」という権利もあると説明されています。曲を作った人、歌った人、音源を作った人のそれぞれに権利があります。
自分たちで作り、自分たちで録音した曲なら判断しやすいですが、楽曲を著作権の管理団体に預けている場合や、レコード会社・事務所と契約している場合は、MVの制作や公開について事前に窓口へ確認しておきます。なお、YouTubeの2023年2月の発表によると、YouTubeはJASRAC(日本音楽著作権協会)と、JASRACが管理する楽曲の利用について許諾契約を結んでおり、その対象にはレコード会社などが制作するミュージックビデオなどの公式コンテンツも含まれるとされています。
出演者の肖像の扱いを決めておく
アーティスト以外の出演者(俳優、ダンサー、エキストラなど)がいる場合は、MVに出ること、公開する場所(YouTube、SNS、ライブの演出など)、公開する期間を事前に伝え、同意を書面で残しておきましょう。ライブ映像を使う場合は、映り込む観客への配慮も必要です。撮影のときに告知をしたり、編集で顔がはっきり映らないようにしたりする方法があります。
よくある質問
Q. 曲がまだ完成していなくても依頼できますか?
仮のミックスがあれば、曲の長さや展開をもとに企画を進められます。最終的な音源は、編集の段階で差し替える進め方もあります。リリース日が決まっている場合は、早めにご相談ください。
Q. アーティスト本人が出演しないMVも作れますか?
ストーリー仕立てで俳優などに出演してもらう方法や、リリック映像、アニメーションで表現する方法があります。どの形が楽曲に合うか、一緒に考えます。
Q. MVからSNS用の短い動画も作れますか?
はい。本編のMVから縦型のショート動画を切り出し、TikTok・Instagram・YouTubeショート向けに整えることができます。
Q. 予算が限られていても相談できますか?
はい。楽曲の世界観とご予算をお伺いしたうえで、企画から撮影・編集までのプランをご提案します。
アイフィルムのMV制作と実績
アイフィルムでは、ミュージックビデオの企画から撮影・編集・CG制作・カラーグレーディングまでまとめてお受けしています。楽曲のメッセージやアーティストの個性をもとにストーリーや映像演出を提案し、シネマカメラやドローンでの撮影、映像のリズムを音楽に合わせた編集、歌詞テロップや映像エフェクトなどのVFX・モーショングラフィックスまで手がけます。本編から切り出したSNS向けのショート動画にも対応しています。
これまでに制作したミュージックビデオには、次のような作品があります。
| 作品 | ご依頼主 |
|---|---|
| 「これがウチらのグーチョキパー」MUSIC VIDEO | 有名になりたい 様 |
| 「最果てより」MUSIC VIDEO | ime 様 |
| MV制作 | ゆりぴ〜チャンネル 様 |
| 新曲MV | 長澤 様 |
| 新曲MV | 輪入道 様 |
映像は制作実績のページでご覧いただけます。サービスの詳細はミュージックビデオ制作のページをご覧ください。オリジナルBGM制作やオリジナルソングもあわせてご相談いただけます。「どんなMVが曲に合うか」を一緒に考えるところから、お問い合わせで承ります。


