
新しく入った人に仕事を教えるとき、同じ説明を何度も繰り返したり、教える人によって伝え方が少しずつ違ったりしていませんか。紙のマニュアルを用意しても、機械の操作や接客の動きは文字だけでは伝わりにくいものです。
こうした「見て覚える」部分を補うのが、研修動画やマニュアル動画です。動画にすると効果が出やすい業務(手順・機械操作・接客・安全教育)、社内教育を動画にするメリット、構成と撮り方、テロップ・字幕・多言語化、更新と社内での配信方法を、発注を考えている担当者の方向けにまとめました。
研修・マニュアル動画に向いている業務
動画は、文字や写真では伝えにくい「動き」「順番」「タイミング」を見せるのが得意です。社内の業務のうち、次のようなものは動画にすると効果が出やすい分野です。
| 業務の種類 | 具体例 | 動画にすると伝わること |
|---|---|---|
| 作業の手順 | 製品の組み立て、梱包、清掃、検品 | 作業の順番と、手の動かし方 |
| 機械・システムの操作 | 製造機械の起動と停止、レジや業務システムの操作 | ボタンの位置、画面の変化、操作のタイミング |
| 接客・応対 | 来店時のあいさつ、電話応対、クレーム対応 | 声のトーン、表情、立ち位置、お辞儀の角度 |
| 安全教育 | 保護具の着け方、作業開始前の点検、非常時の退避 | 正しい手順と、危ない場面の見分け方 |
安全教育は「必ず行う教育」だからこそ
安全教育は、特に動画と相性のよい分野です。労働安全衛生法第59条では、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときに、その業務に関する安全・衛生のための教育を行うことが事業者に求められています。常時・臨時・日雇いといった雇用形態は問いません。教育する内容は労働安全衛生規則第35条で定められていて、「作業手順に関すること」「作業開始時の点検に関すること」「事故時等における応急措置及び退避に関すること」などが挙げられています。
新しい人が入るたびに必ず行う教育だからこそ、基本の部分を動画にしておくと、毎回同じ内容を確実に伝えられます。現場での実地の指導と組み合わせれば、指導する人は動画では伝えきれない部分に時間を使えるようになります。
社内教育を動画にする3つのメリット
1. 教える人による差をなくせる
口頭での指導は、教える人の経験や話し方によって伝わる内容が変わります。動画にしておけば、誰が担当しても同じ手順、同じ注意点を伝えられます。
人を育てることに悩んでいる職場は少なくありません。厚生労働省の「令和7年度 能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に何らかの問題があるとする事業所が80.1%にのぼりました。問題点として多かったのは、「指導する人材が不足している」59.5%、「人材を育成しても辞めてしまう」51.6%、「人材育成を行う時間がない」45.5%です。基本の説明を動画に任せれば、指導する人は限られた時間を、現場でしか教えられない場面に回せます。
2. 何度でも、好きなときに見返せる
研修の場で一度聞いただけでは、覚えきれないこともあります。動画なら、作業の前にスマートフォンで確認したり、わからないところだけを繰り返し見たりできます。「前に聞いたけれど、もう一度聞きづらい」という新人の気持ちにも応えられます。
3. 外国人スタッフ向けに多言語化しやすい
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)によると、外国人労働者数は2,571,037人で、前年から268,450人増えました。国籍別ではベトナムが最も多く、中国、フィリピンが続きます。
厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、外国人労働者への安全衛生教育について、母国語等を用いる、視聴覚教材を用いるなど、その内容を理解できる方法で行うこととされています。ここでいう「母国語等」には、本人が使う言語のほか、平易な日本語も含まれます。
動画は映像そのものが言葉の壁を越えやすく、そのうえで字幕やナレーションを言語ごとに差し替えれば、同じ映像を何か国語にも展開できます。
構成は「1本1テーマ」で短く分ける
研修動画でよくある失敗が、業務のすべてを1本の長い動画にまとめてしまうことです。長い動画は、見たい場面を探すのに手間がかかり、手順が変わったときの修正も大がかりになります。基本は、1本の動画で1つの作業だけを扱うことです。
| 1本にまとめた場合 | テーマごとに分けた場合 |
|---|---|
| 「新人研修 製造ライン編」30分 | ①機械の起動と停止 ②材料のセット ③検品の手順 ④トラブル時の連絡 ⑤終業時の清掃 |
| 見たい場面を探すのに時間がかかる | 必要な動画だけをすぐ見られる |
| 手順が一部変わると全体を作り直す | 変わった動画だけを差し替えられる |
1本の中の流れは、次の順番にすると理解しやすくなります。
- この動画で覚えること:最初の数秒で、作業の名前と目的を伝える
- 完成形を見せる:作業が終わったときの正しい状態を先に見せる
- 手順:番号を振って、一つずつ見せる
- 注意点:間違えやすいところ、危ないところを強調する
- まとめ:手順の番号を一覧で振り返る
完成形を先に見せておくと、見る人は「何のための手順か」を理解したうえで見られるため、覚えやすくなります。
撮影と編集の工夫:手元・主観視点・テロップ・字幕
手元のアップと「作業する人の目線」で撮る
手順の動画で一番見たいのは、手元の動きです。全体の様子がわかる引きの映像と、手元のアップを組み合わせると、「どこで」「何を」しているかが一度に伝わります。細かい部品や目盛りを見せたいときは、近くに寄って撮るマクロ撮影も有効です。
作業する人の目線に近い位置から撮る主観視点の映像も効果的です。見る人が実際に作業するときと同じ向きで手元が映るため、左右を取り違えにくくなります。向かい合った位置から撮ると左右が逆に見えるので、手順の動画では作業する人の肩越しや頭の位置から撮る映像を中心にします。
撮れない場面はアニメーションやCGで見せる
機械の内部の動き、事故が起きる瞬間、目に見えない危険など、実際に撮影できない場面もあります。こうした場面は、イラストのアニメーションや3DCGで見せると、安全に、わかりやすく伝えられます。実写と組み合わせることもできます。

テロップは「手順番号」と「注意」を目立たせる
工場や店舗の中など、音を出せない場所や周りがうるさい場所で見ることも想定して、大事な情報はテロップ(画面上の文字)でも伝えます。
- 手順番号:「手順3/5」のように、全体のどこにいるかを示す
- 注意:危ない操作や間違えやすい点は、色や記号を決めて毎回同じ見せ方にする
- 数値:温度、時間、量などは、ナレーションだけでなく文字でも出す
字幕とナレーションで多言語に対応する
外国人スタッフ向けには、字幕だけを差し替える方法と、ナレーションごと言語別に作る方法があります。手元を見ながら字幕を読むのは負担になることもあるため、操作の多い動画では、母国語のナレーションがあると理解しやすくなります。日本語版を作るときは、短い文で、専門用語や社内の略語を言い換えた原稿にしておくと、翻訳もしやすく、やさしい日本語の字幕としても使えます。
作りっぱなしにしない:更新のしやすさと配信方法
更新しやすい作り方
業務の手順や機械、システムの画面は、いずれ変わります。最初から更新を前提にしておくと、作り直しの手間と費用を抑えられます。
- テーマごとに分ける:変わった手順の動画だけを差し替えられる
- ナレーションとテロップで説明する:言い回しや数値が変わったときに、撮影し直さずに直せる部分が増える
- 版と日付を管理する:動画の最後や管理表に「〇年〇月版」と記録し、古い動画が残らないようにする
社内だけに配信する方法
研修動画は、社外に公開しない前提で配信することがほとんどです。社内のファイル共有の仕組みや動画配信サービスのほか、YouTubeの公開設定を使う方法もあります。
| YouTubeの公開設定 | 誰が見られるか | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 限定公開 | リンクを知っている人だけが視聴でき、そのリンクはさらに共有できる。公開の再生リストに追加されない限り、検索結果には表示されない | 社外に見られても問題のない、手軽に配りたい動画 |
| 非公開 | 自分と、メールアドレスで指定したユーザーだけが視聴できる | 見る人を限定したい社内向けの動画 |
限定公開は、リンクが転送されれば社外の人も見られます。機密に関わる内容は、見られる人を指定できる方法を選びましょう。公開範囲の考え方は株主総会・社内イベントのオンライン配信、録画を資産として配信する方法はオンデマンド配信とは?で詳しく紹介しています。
アイフィルムでの研修・マニュアル動画づくり
アイフィルムでは、伝えたい内容を伺い、企画・脚本の段階から関わります。撮影では手元の細かい動きを見せるマクロ撮影、編集では見やすいテンポと説明のテロップで、情報を正確に伝えます。機械の動作やサービスの流れ、実写では撮れない内部の構造は、3DCGやインフォグラフィックで表現できます。教育・研修用の簡易アニメーション映像も制作しています。
ナレーションは、提携事務所のナレーターから候補をご提案し、東京都新宿区高田馬場にある共同運用スタジオで収録します。原稿が固まっていない場合も、専門用語の言い換えや読みやすい文章へのリライトなど、台本づくりからお手伝いします。料金の目安(税別)は、動画ナレーション(3分・1,000文字まで)が66,000円、5分までの簡易MA込みが110,000円で、多言語は1言語につき44,000円〜の追加です。多言語は英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、タイ語、インドネシア語などに対応し、翻訳もあわせてお任せいただけます。
詳しくは商品・サービス紹介動画、ナレーション、3DCG/アニメーションのページをご覧ください。どの業務から動画にするか迷ったら、最初の表の4つの分野から、説明を繰り返す回数がいちばん多い業務を選んでみてください。ご相談はお問い合わせから承ります。
よくある質問
Q. 1本あたりの長さはどれくらいがよいですか?
決まった長さはありませんが、1本で1つの作業を扱い、その作業を説明するのに必要な分だけにするのが基本です。長くなる場合は、作業の区切りで複数の動画に分けると、必要な場面を探しやすくなります。
Q. 社内のスタッフが出演してもよいですか?
もちろんです。実際に作業している人が出演すると、現場の道具や動きがそのまま伝わります。顔を映さずに手元だけを撮る方法もあります。出演をお願いするときは、社内で使う動画であっても、公開する範囲と期間を本人に説明しておきます。
Q. 多言語版は、日本語版と同時に作ったほうがよいですか?
同時に計画しておくのがおすすめです。字幕を入れる余白や、言語によって長さが変わるナレーションの尺をあらかじめ考えて編集できるため、あとから作るより手間が少なくなります。アイフィルムの多言語ナレーションの料金は1時間収録を基準にしているため、短い動画を何本かまとめて収録すると効率よく進められます。
Q. 今ある紙のマニュアルをもとに作れますか?
作れます。紙のマニュアルは手順や注意点が整理されているので、構成や台本づくりの土台になります。文字だけでは伝わりにくい動きの部分を中心に動画にすると、紙と動画を使い分けられます。


