
「撮れないもの」を見せるのは、3DCG(コンピューターで立体的に作る映像)やアニメーションの得意分野です。機械の内部の動き、発売前でまだ形のない製品、目に見えないサービスの仕組みなどは、カメラを向けても映すことができません。商品やサービスを動画で紹介するときにまず思い浮かぶのはカメラで撮る「実写」の映像ですが、こうした場面ではCGやアニメーションの出番になります。
3DCG・アニメーション動画がどんな商品・サービスに向いているのかを、実写と使い分ける6つの判断基準を軸に整理しました。業種別の活用例や表現の種類、制作の流れ、費用の目安もまとめています。撮影の準備や商品の見せ方そのものは商品紹介動画の撮影チェックリストの記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。
実写か、3DCG・アニメーションか:6つの判断基準
実写は、本物の質感や人の表情、現場の空気感をそのまま伝えられます。3DCGやアニメーションは、カメラでは映せないものを、見せたい角度・大きさ・スピードで自由に描けます。どちらを選ぶかは、「伝えたいものがカメラで撮れるかどうか」で考えると整理しやすくなります。
| 判断基準 | 実写で難しい理由 | 3DCG・アニメーションでできること | 例 |
|---|---|---|---|
| 見えない内部 | 外側しか映らない | 外装を透かす、断面を見せる、部品を分解して並べる | 機械の内部構造、配管の中の流れ |
| まだない製品 | 実物がない | 図面や資料から形を再現する | 発売前の製品、建築前の建物 |
| 大きすぎる・小さすぎる | 全体が画面に収まらない、細かすぎて見えない | 自由に拡大・縮小し、全体と細部を行き来する | 工場のライン全体、電子部品、体の中の仕組み |
| 危険な場面 | 撮影そのものが危ない、再現できない | 事故や故障の瞬間を安全に再現する | 安全教育、災害時の動き |
| 抽象的なサービス | 形がなく、映すものがない | 仕組みや流れを図やキャラクターで見せる | クラウドサービス、保険、行政の制度 |
| 人物を出さない | 出演者の手配や顔出しの調整が必要 | キャラクターやイラストで説明する | 社内向けの説明、個人情報に配慮したい場面 |
たとえば機械メーカーの製品紹介なら、実際に動いている様子は実写で撮り、内部でどう動いているかは3DCGで見せる、という組み合わせがよく合います。研修動画で、実際には撮影できない事故の場面をアニメーションで見せる方法は、研修動画・マニュアル動画の作り方の記事でも触れています。
逆に、食品のシズル感(おいしそうな湯気や照り)や、職人の手しごと、社員の人柄などは、実写のほうが伝わりやすい内容です。「全部をCGに」と考えるより、撮れるものは実写で、撮れないものをCGで補うと考えると、費用と伝わりやすさのバランスが取りやすくなります。
3DCG・アニメーションが向いている業種と活用例
上の判断基準にあてはまる場面が多い業種ほど、3DCG・アニメーションの効果が出やすくなります。代表的な例をまとめました。
| 業種 | 向いている内容 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 製造業・機械メーカー | 内部構造、動作の仕組み、部品の構成 | 展示会、営業資料、Webサイトの製品ページ |
| 建築・不動産・住宅 | 完成予想の外観、室内を歩くような映像 | 施主や購入検討者へのプレゼン、販売サイト |
| 医療機器・ヘルスケア | 体の中での働き、機器の使い方 | 医療関係者向けの説明、学会や展示会 |
| IT・通信・金融・保険 | データの流れ、サービスの仕組み、手続きの流れ | サービス紹介、Web広告、セミナー |
| 自治体・公共団体 | 制度の説明、防災の動き、まちの将来像 | 住民向けの説明動画、説明会での上映 |
| 教育・研修 | 危険な作業、目に見えない現象 | 社内研修、安全教育、授業の教材 |
ほかにも、会社や商品のロゴを立体的に動かすオープニング映像や、マスコットキャラクターを動かす紹介動画など、業種を問わず使える表現もあります。展示会のブースで流す映像の作り方は、展示会で流すループ動画の記事で詳しく紹介しています。
表現の種類:3DCG・2Dアニメーション・モーショングラフィックス・インフォグラフィック
ひとくちに「CG」「アニメーション」と言っても、表現の種類はいくつかあります。伝えたい内容と予算に合わせて選びます。
| 表現の種類 | どんなものか | 向いている内容 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 3DCG | コンピューター上で立体の模型(3Dモデル)を作り、カメラを動かすように映像にする | 製品の形や内部構造、建物、立体的な仕組み | 実物に近いリアルな見た目にできる。一度作ったモデルは別の角度・別の映像にも使える |
| 2Dアニメーション | イラストやキャラクターを平面で動かす | ストーリー仕立ての説明、親しみやすい紹介 | やわらかい印象になり、幅広い年代に届けやすい |
| モーショングラフィックス | 文字・図形・ロゴなどに動きをつけて見せる | ロゴのオープニング、キャッチコピー、場面のつなぎ | テンポよく、すっきりした印象に仕上がる |
| インフォグラフィック | 数字や仕組みを、グラフ・地図・図解で見せる | データの比較、サービスの流れ、手順 | 情報を整理して短時間で伝えられる |
実際の動画では、これらを組み合わせることも多くあります。たとえば、実写の工場の映像に3DCGの内部構造を重ね、最後にインフォグラフィックで導入実績の数字を見せる、といった構成です。実写の映像とCGを合成すれば、「実在する場所に、まだない製品を置いてみせる」こともできます。

制作の流れ:3Dデータの有無で変わるところ
3DCG・アニメーション動画の基本的な流れは、実写の動画制作とほぼ同じです。違いは、撮影の代わりに「モデリング(3Dモデルを作る作業)」や「アニメーション(動きをつける作業)」「レンダリング(映像として書き出す作業)」が入ることです。全体の流れは動画制作の流れの記事も参考にしてください。
| 工程 | 内容 | 発注側にお願いしたいこと |
|---|---|---|
| ヒアリング | 目的、見る人、使う場所、尺、予算を整理 | 「何を一番伝えたいか」を共有する |
| 資料・データの収集 | CADデータ、図面、写真、仕様書などを集める | 使ってよい資料をまとめて渡す |
| 構成・絵コンテ | 場面ごとの見せ方とナレーションの流れを決める | 技術的に正しいかを確認する |
| モデリング・質感づくり | 3Dモデルを作り、色や素材感をつける | 形・色・ロゴの位置などを確認する |
| アニメーション・レンダリング | 動きとカメラワークをつけ、映像として書き出す | 動きの順番や仕組みが正しいかを確認する |
| 編集・仕上げ | テロップ、ナレーション、音楽を加えて完成させる | 文言と全体の流れを確認する |
CADデータがある場合
製品の設計に使ったCADデータ(設計図のデータ)があれば、それをもとに3Dモデルを作れます。寸法が正確なモデルをつくりやすく、部品の構成を分解して見せる映像にも向いています。CADデータは設計用のデータなので、映像に使うには形式の変換や、細かすぎる部分の整理が必要になることがあります。どんなソフトで作ったデータか、どの形式で書き出せるかを、最初の打ち合わせで教えてください。発売前の製品のデータを扱う場合は、秘密保持の取り決めも早めにご相談ください。
CADデータがない場合
CADデータがなくても、実物の写真や、正面・側面・上面から見た図、手描きのイメージなどをもとにモデルを作れます。実物がある場合は、いろいろな角度から撮った写真と、主な寸法がわかる資料があると再現の精度が上がります。
確認は「途中」で丁寧に
3DCGは、工程が進んでから形や動きを大きく変えると、作り直す範囲が広がります。構成・モデル・動きの各段階で、技術的に正しいか、社内の関係者にも見てもらうと、後からの手戻りを減らせます。
実物との違いに気をつける
CGは、製品を実物以上にきれいに見せることもできてしまいます。景品表示法では、放送・映写やインターネットによる広告も「表示」に含まれ、商品の品質や規格などを実際のものよりも著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)は禁止されています。広告として使う映像では、色・サイズ・性能などが実物と食い違わないよう、確認の段階で仕様と照らし合わせておきます。

費用と期間を左右する要素
3DCG・アニメーションの費用は、撮影の日数ではなく、主に「作業量」で決まります。費用に影響する主な要素は次のとおりです。
| 要素 | 費用が上がりやすいケース | 抑えやすいケース |
|---|---|---|
| モデルの数 | 製品や部品、背景など、作るものが多い | 主役の製品1つに絞る |
| 精密さ・質感 | 細部まで作り込む、金属や透明な素材をリアルに見せる | 形と仕組みが伝わる程度のシンプルな見た目 |
| 動きの量と尺 | 長い尺で、複数の動きやカメラワークがある | 短い尺で、要点の動きだけを見せる |
| 表現の種類 | 3DCGと実写の合成、エフェクトを多く使う | インフォグラフィックやモーショングラフィックス中心 |
| 素材の有無 | 資料が少なく、形を一から起こす | CADデータや図面、写真がそろっている |
| 仕上げ | ナレーション・オリジナル音楽・多言語版を加える | テロップと既存の音楽で仕上げる |
アイフィルムの料金の目安
| 内容 | 料金の目安 |
|---|---|
| インフォグラフィック | 10万円〜 |
| ナレーション・アニメーションのみの構成 | 数十万円から |
| 静止した製品モデルを1つ作成し、軽く動かす程度 | 30万〜50万円程度で収まるケースがあります |
| 本格的なCGアニメーション | 100万円以上となる場合もあります |
| フルアニメーションの説明動画(数分間、複数のモデルが登場、質感やエフェクトを作り込んだもの) | 100万〜300万円規模になることもあります |
期間は内容によって変わりますが、当社のよくある質問では、簡易な案件は数日〜、一般的な制作は2〜6週間を目安としてご案内しています。3DCGは、作るモデルの数や動きの量、確認の回数によって前後するため、展示会や発表会など公開日が決まっている場合は、早めにご相談いただくと工程に余裕を持てます。
よくある質問
Q. まだ試作段階で、実物がありません。動画は作れますか?
作れます。図面やCADデータ、試作品の写真などをもとに3Dモデルを作れば、実物が完成する前から映像を用意できます。発表会や展示会に向けて、製品の完成と並行して映像を準備することもできます。
Q. CADデータや設計図がないと、3DCGは作れませんか?
CADデータや設計図がない商品でも、写真や資料をもとにモデリングできます。いろいろな角度からの写真と、主な寸法がわかる資料があると、より正確に再現できます。
Q. 実写と3DCG、どちらで作るか迷っています。
伝えたい内容のうち「カメラで撮れるもの」と「撮れないもの」を分けてみるのがおすすめです。使っている様子や人の表情は実写、内部の仕組みや形のないサービスは3DCGやアニメーション、と組み合わせることもできます。ご予算と目的を伺ったうえで、どちらが合うかをご提案します。
Q. 作った3Dモデルは、別の動画にも使えますか?
使えます。一度作れば、角度や動きを変えて別の映像も作りやすくなります。展示会用の長い映像と、SNS用の短い映像を同じモデルから作ることもできます。制作物の使い道(媒体・期間・地域)は契約で取り決めますので、ほかの用途にも使う予定があれば、最初にお知らせください。
アイフィルムでの3DCG・アニメーション制作
アイフィルムでは、3DCG・アニメーションを使った動画を、企画から納品までお受けしています。商品や建物、キャラクターの3Dモデルをゼロから作成し、実物の写真やCAD図面からの再現にも、イメージイラストからのオリジナルデザインにも対応します。3DCGの制作にはBlender(無料で公開され、商用にも使える3DCGソフト)を使っています。
透明なCGモデルで製品の内部を見せる映像や、分解図で部品の構成を示す映像、建築前の建物の完成イメージ、ロゴの立体アニメーション、マスコットキャラクターの紹介動画、教育・研修用の簡易アニメーションなどを手がけています。フルCGの映像のほか、実写映像との合成や、データを図解するインフォグラフィック動画、VR/AR向けの3Dコンテンツや3Dホログラム用の映像にも対応しています。音楽専門のスタッフがナレーションや楽曲制作を担当するため、映像に合わせた音まで含めて仕上げられます。
お客様からは「CG動画にはもっと費用がかかるだろうと思っていた中、クオリティも高く納期内/予算内に仕上げていただき感謝しています」という声もいただいています。
サービスの詳細は3DCG/アニメーションのページ、ほかの作品は制作実績でご覧いただけます。CADデータや製品写真があれば、それを添えてお問い合わせください。CGと実写のどちらが合うかも、資料を見ながらご提案します。


