
合同会社アイフィルムの小池です。アイフィルムは新潟県糸魚川市に本社を置く映像制作会社です。
糸魚川の観光資源全体と、それを映像で伝える意味は糸魚川の観光を動画で伝えるで、ヒスイを写真や動画の素材にする方法は糸魚川ヒスイのPR素材の作り方でまとめました。今回は、糸魚川ジオパークが持つ「地球の物語」、日本列島がどのようにできたのかという話を映像にする方法に絞ります。
断層や地層は、その場に立っても「ただの崖」に見えてしまうことがあります。何億年という時間や、山から海までの大きな地形を、数分の映像でどう伝えるか。自治体や観光団体、学校、地元企業の担当の方に向けて、企画の考え方から撮影時の注意までをまとめました。
映像のテーマになる、糸魚川ジオパークの基本
まずは公式の情報から、ジオパークの基本を押さえておきます。
| 項目 | 公式情報で確認できること |
|---|---|
| 認定 | 2008年12月に最初の日本ジオパークの一つとなり、2009年8月22日に洞爺湖有珠山・島原半島とともに日本初の世界ジオパークに認定 |
| 最新の再認定 | 2025年9月にチリで開かれた第10回ユネスコ世界ジオパーク・カウンシル会議で審議され、「グリーンカード」で4年間の再認定が決定 |
| 見どころの数 | 市内に24のエリア(新潟県の案内では「24のジオサイト」) |
| 大地の特徴 | 西南日本と東北日本の地質を分ける大断層「糸魚川-静岡構造線」が通る |
| 地形 | 北アルプスの3000メートル級の山々から、水深1200mになる日本海の海底谷までがつながる |
| 自然公園 | 二つの国立公園と三つの県立自然公園がある |
日本ジオパークネットワークの紹介ページは、「その昔、日本列島がアジア大陸から離れる時にできた巨大な裂け目がフォッサマグナです」という一文から始まり、糸魚川を「日本列島がまるごとわかるジオパーク」と紹介しています。糸魚川ジオパークの公式サイトでは、24のエリアを「ヒスイを感じる」「日本列島形成の歴史を知る」「雄大な山々を味わう」の3つのテーマに分けて案内しています。
糸魚川ジオパーク協議会の説明では、ジオパークは貴重な「地質の宝もの」や地域の自然・文化を守りながら、多くの人に知ってもらい、訪れてもらうことを目的としています。守ることと伝えることの両方が目的なので、映像はジオパークの活動と相性のよい道具です。

「大地の成り立ち」が映像で伝わりにくい理由
ジオパークの映像づくりで最初にぶつかるのは、「見たまま撮っても、すごさが伝わらない」という壁です。理由は大きく3つあります。
時間のスケールが大きすぎる
日本列島が大陸から離れた話や、海の底でできた岩石が今は陸にある話は、人の一生とはかけ離れた時間の出来事です。映像に映るのは「今の姿」だけなので、過去にどう動いてきたのかは、別の方法で補う必要があります。
空間のスケールが大きすぎる
糸魚川-静岡構造線は日本列島を横切る大断層ですが、地上で見られるのはその一部です。山から海底谷までのつながりも、一か所に立って撮るだけでは画面に収まりません。
見た目だけでは価値がわかりにくい
断層の露頭(地層や岩石が地表に出ているところ)や枕状溶岩(海底に流れ出た溶岩が枕のような形に固まったもの)は、説明があって初めて「海の底だった証拠」「大地の境目」とわかります。専門用語も多いので、言葉の置きかえも要ります。
地球の物語を映像にする5つの工夫
伝わりにくさの理由ごとに、使える手法を整理すると次のようになります。
| 伝えたいこと | 向いている手法 | 映像の例 |
|---|---|---|
| 大きさ・広がり | 人や車と並べる、引きと寄りの組み合わせ | 崖の前に立つ人を遠くから撮り、ゆっくり寄っていく |
| 過去の動き | CG・図解(インフォグラフィック) | 列島が大陸から離れ、裂け目ができる様子を地図で動かす |
| 地形のつながり | ドローン空撮 | 山から川、海岸までを一続きの空撮で見せる |
| 価値・意味 | ガイドや研究者の語り | 露頭の前で、何がわかるのかを話してもらう |
| 地域の暮らしとの関係 | 季節ごとの撮影 | 新緑、紅葉、冬の海と、旬の食や行事 |
1. スケールは「比べるもの」で見せる
大きな崖や岩も、画面の中に比べるものがないと大きさがわかりません。人や車、遊歩道の手すりなど、誰もが大きさを知っているものを一緒に写すと、見る人は自然に大きさをつかめます。遠くから全体を見せたあとに寄っていく、または寄りから引いていく動きも、スケールを伝える定番の方法です。
2. CG・図解で「見えない時間」を補う
過去の大地の動きは、実写では撮れません。地図や断面図を動かす図解や3DCGを使うと、「この崖ができるまで」を数十秒で見せられます。効いてくるのが、実写と図解を行き来させる構成です。図解で仕組みを見せたら、すぐに現地の実写に戻ると、「いま見ている景色がそうなのか」とつながります。
図解の中身は、ジオパークの専門員や博物館の資料と照らし合わせて確認します。実写と3DCG・アニメーションの使い分けは、3DCG・アニメーション動画が向いている商品・サービスでも紹介しています。
3. ドローンで「つながり」を見せる
3000メートル級の山々から日本海の海底谷までつながる地形は、糸魚川ジオパークの大きな魅力です。空からの映像なら、川が山から海へ流れる道筋や、断崖が海に落ちる海岸線を、一続きで見せられます。地上の映像だけでは伝えにくい「位置関係」がひと目でわかります。
4. ガイドの語りで「意味」を伝える
糸魚川ジオパークには観光ガイドの仕組みがあり、糸魚川市観光協会を通じて申し込めます。案内時間は9時から16時で、年末年始(12月29日〜1月3日)はお休みと案内されています。
映像でも、ガイドが現地で語る場面を入れると、専門的な内容がぐっと身近になります。たとえばフォッサマグナパークには、駐車場から断層まで歩く遊歩道があり、道中に断層にまつわる解説があります。こうした場所で、ガイドが歩きながら話す様子を撮ると、見る人も一緒に歩いているような感覚で理解できます。台本を読み上げるより、ガイドの言葉で話してもらい、テロップで要点を補う方が、自然な語りになります。
5. 季節で「大地と暮らし」をつなぐ
糸魚川ジオパーク協議会の戦略プロジェクトでは、農産物・海産物や郷土料理、景観や温泉を「大地の恵み」として、ジオパークの視点で価値を高める考え方が示されています。新緑や紅葉、雪の山、冬の海と、季節ごとの景色や食を組み合わせると、地質の話が暮らしの話につながります。
ただ、季節によっては行けない場所もあります。小滝川ヒスイ峡は、通行できる期間が4月下旬〜11月上旬(積雪のため冬季は通行止め)と案内されており、公式サイトでも道路の通行止めや迂回路の情報が掲載されています。撮影したいエリアと季節が決まったら、最新のアクセス情報を確認して日程を組みます。雪の季節の撮影は、雪の撮影で注意したい機材・バッテリー・安全対策もあわせてご覧ください。
ジオサイトで撮影するときに確認しておきたいこと
ジオサイトは観光地であると同時に、守るべき場所でもあります。撮影前に確認したいのは次の点です。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 採取のルール | ヒスイ峡の指定地では、石・動植物などを採ることが法律で禁止されている。撮影は景色として記録する |
| 天然記念物の指定地 | 指定地でドローンを使う場合、文化財保護法に基づく手続きが必要になることがある。市町村の文化財担当に確認する |
| 国立公園・管理者のいる土地 | 土地や施設の所有者・管理者に事前に確認する。人が集まる場所や野生生物の近くでの飛行は控える |
| アクセスと天候 | 通行止めや迂回路の情報、冬季の通行止めを確認する。予備日を決めておく |
| 安全 | 断崖や波の高い海岸、山道では、足元と天候に余裕をもって行動する |
| ロゴ・キャラクター | 映像にジオパークのロゴマークやキャラクターを入れる場合は、糸魚川市の使用申請の案内を確認する |
国立公園でのドローンの使い方については、環境省が公園によって注意事項を公表しています(たとえば磐梯朝日国立公園の注意事項では、土地の管理者への確認、天然記念物指定地での文化財保護法の手続き、利用者が集中する場所での使用を控えることなどが挙げられています)。撮影する場所ごとに、管理者や関係機関に確認しておきます。航空法による飛行許可・承認の仕組みは、ドローン空撮の費用相場と飛行許可の仕組みで解説しています。
親不知は、断崖絶壁と荒波が織りなす海岸として知られ、「天下の険」と呼ばれてきました。迫力のある映像が撮れる場所ですが、そのぶん波や足元には気をつけます。海岸での撮影は、波の穏やかな日を選び、海に近づきすぎない位置から撮るようにします。
観光・教育・移住PRでの使い分け
同じジオパークの映像でも、見る人が変われば、物語の軸も長さも変わります。
| 目的 | 主な見る人 | 物語の軸 | 使う場所・長さの例 |
|---|---|---|---|
| 観光 | 旅行を考えている人、外国人観光客 | 景色の迫力、体験、季節の楽しみ | SNSの短い動画、観光案内所のモニター、Webサイト |
| 教育 | 児童・生徒、教育旅行の学校 | 大地の仕組み、身近な場所との関係 | 授業や事前学習で使う、テーマごとの数分の映像 |
| 移住・関係人口 | 移住を考えている人、地域に関わりたい人 | 大地の恵みと暮らし、地元の人の誇り | 移住相談会や説明会での上映、Webサイト |
観光:まず「行ってみたい」と思ってもらう
観光向けは、細かな解説よりも、景色の迫力と体験の楽しさが先です。空撮や季節の景色で興味を引き、詳しい話はガイドツアーや博物館につなぐ構成にすると、現地での体験と役割を分けられます。外国人観光客向けには、英語のナレーションや字幕を付けた版も考えられます(多言語ナレーションで外国人向け動画を作る)。
教育:仕組みを一つずつ
糸魚川市教育委員会の「0歳から18歳までの子ども一貫教育方針」では、教育活動の3本柱の一つに「糸魚川ジオ学の創造」が位置付けられています。ジオパーク協議会の戦略プロジェクトでは、教育的なコンセプトでジオパーク資源を活かしたツアーの商品化や、体験教育旅行の充実も掲げられています。
教育向けの映像は、1本にすべてを詰め込むより、「フォッサマグナとは」「ヒスイはどこから来たのか」のようにテーマを分け、数分ずつにまとめると授業で使いやすくなります。図解と現地の映像、ガイドの語りを組み合わせ、子どもにもわかる言葉で説明します。
移住・関係人口:大地と暮らしをつなぐ
戦略プロジェクトでは、「ジオパークブランド」を活用した交流人口や関係人口(地域に継続的に関わる人)の拡大が、地域振興に効果的だと捉えられています。移住や関係人口に向けた映像では、地質の話そのものより、その大地の上で暮らす人の姿が主役になります。海の幸や温泉といった「大地の恵み」、地元の人がジオパークを語る言葉を軸にすると、暮らしのイメージが伝わります。
よくある質問
Q. ジオパークの解説動画に、CGや図解を入れてもらえますか?
はい。アイフィルムは3DCGやインフォグラフィック(図解の動画)の制作にも対応しています。図解の内容は、ジオパークや博物館の資料をもとに、ご担当の方と確認しながら作ります。
Q. ガイドの方に出演してもらう撮影もできますか?
ご相談ください。出演していただく方の予定と撮影場所の条件を確認したうえで、話していただく内容や撮影の進め方をご提案します。
Q. 冬の糸魚川でも撮影できますか?
撮影できる場所はありますが、冬季に通行できなくなるエリアもあります。撮りたい場所と季節を伺い、アクセスの状況を確認して日程をご提案します。
Q. 1回の撮影で、観光向けと教育向けの両方を作れますか?
撮影の前に、それぞれで必要なカットを洗い出しておけば、同じ撮影から長さや構成の違う映像を作り分ける計画を立てられます。考え方はショート動画と長尺動画の使い分けでも紹介しています。
糸魚川本社のアイフィルムができること
アイフィルムは糸魚川本社を拠点に、地元の自治体・企業・団体の映像制作やドローン空撮を手がけ、糸魚川市のPR CMや観光・ジオパーク関連の映像を制作してきました。新潟県糸魚川市様の「フォッサマグナミュージアムイベント告知動画」「美山プロジェクト紹介動画」などは、制作実績でご覧いただけます。
ドローン空撮は、国土交通省の飛行許可・承認を取得した有資格パイロットが、操縦担当と安全監視担当の2名体制で行います。料金は1フライト(約20分程度)あたり3万円台からです(ドローン空撮)。図解やCGは3DCG/アニメーション、ナレーションはナレーションのページもご覧ください。地元での対応は糸魚川市のエリアページにまとめています。
構成が決まっていなくても、「この場所の成り立ちをわかりやすく映像にしたい」とお問い合わせに書いていただければ、そこから一緒に考えます。
参考にした情報
- 24エリア(糸魚川ユネスコ世界ジオパーク 公式サイト)
- 糸魚川ジオパークについて(糸魚川ユネスコ世界ジオパーク 公式サイト)
- ジオパークとは(糸魚川ユネスコ世界ジオパーク 公式サイト)
- ジオパークガイド(糸魚川ユネスコ世界ジオパーク 公式サイト)
- History of Itoigawa Geopark(糸魚川ジオパーク協議会)
- 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク パンフレット(糸魚川ジオパーク協議会)
- 第3期ジオパーク戦略プロジェクト 2022-2026(糸魚川ジオパーク協議会)
- 糸魚川ジオパークが再認定されました(糸魚川市)
- ジオパーク(糸魚川市)
- 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク(日本ジオパークネットワーク)
- 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク(新潟県)
- 糸魚川ユネスコ世界ジオパークの魅力を世界へ(政府広報オンライン Highlighting Japan)
- 小滝川ヒスイ峡(にいがた観光ナビ/新潟県観光協会)
- 日本で初めてのジオパーク 糸魚川でドライブ旅(にいがた観光ナビ/新潟県観光協会)
- 磐梯朝日国立公園におけるドローン使用上の注意事項(環境省)(Internet Archiveの保存版)


